Category Archives: 学校

2つのリスト

3月8日(火)

在校生の進路決定状況がだいたいまとまってきました。まだ抜け落ちがあるとは思いますが、大きな傾向はつかめます。

まず、学生の絶対数が昨年やそれ以前に比べてガクンと減っていますから、合格者の延べ人数も減っています。しかし、第1志望と思われるところに合格し進学することになっている学生の割合は、下がっているとは思えません。多くの学生が出願校を絞ったようにも思えます。その証拠に、関西を中心とする遠征組が減っています。

また、日本語学校の在籍期間の1年延長が認められている影響もあるように思われます。何が何でもこの3月中に行き先を決めなければという原動力が弱くなっているために、無理して受験をしなかったという面もあるようです。そのツケがこの夏・秋以降の受験に回って来なければいいのですが…。

もうすぐ来日する予定の学生のリストも届いていますから、見てみました。その中には現在オンライン授業を受けている学生も含まれています。去年の4月期にレベル1で教えたCさんやMさんやKさんたちの名前も見えます。生身のCさん、Mさん、Kさんたちに会って、上手になった日本語を聞いてみたいものです。先学期レベル5で教えたYさんやLさんの名前もあります。受験講座に欠かさず出ているDさんもしっかりリストに載っています。

次のシーズンには、こういう優秀な学生たちも受験戦線に参戦します。だから、日本にいて今シーズン進学しなかった学生たちは油断ができないのです。その辺のこと、どこまで理解しているのかな。延長した在籍期間を有意義に活用して、目標に到達してもらいたいと願っています。

4月の新入生も含めて、新たな競争が始まります。みんなを上昇気流に乗せたいです。

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最後まで気を抜かず

3月4日(金)

Tさんは先学期受け持った学生です。今年の4月に進学しようとあちこち受けていましたが、全て落ちたら入管の特例を利用して、もう1年KCPで勉強しようと考えていました。在籍期間延長の申請書もぬかりなく提出していました。出席率も学業に対する態度も全く問題ありませんから、延長は認められました。

そのTさん、ここまで来て志望校の1つに合格しました。Tさんが努力している姿を目にしていた者として、喜ばしい限りです。Tさんは合格がわかったらすぐに、延長申請の取り下げ手続きをしました。延長申請をした後で合格が決まった学生はTさんだけではありませんが、申請取り下げを自ら訴えてくる学生は多くありません。こちらが情報をつかみ、本人に取り下げを確認するというパターンが大半です。

日本語学校は日本留学のゲートウェイと言われていますから、それぐらいのお世話はします。在留資格上で進学先の留学生になるためにはKCPの側でも手続きが必要ですから、そこでチェックすることも可能です。しかし、そういうなし崩し的な変更はしてほしくないですね。KCPを出たら、そんなことは許されない場合の方が多いのではないでしょうか。そこをきちんと始末してから出ていこうとしているあたりは、さすがTさんです。

その上、Tさんは卒業式以降も3月いっぱいKCPに通って日本語を勉強したいと言います。3月31日までは法律的にKCPの学生ですから、もちろんその権利はあります。自分の日本語力を少しでも上げておきたい、日本語に対する不安を多少なりとも解消したいという気持ちです。そういう学生は、毎年ごくわずかですがいます。しかし、多くが挫折します。一緒に勉強してきた友達が教室から、学校からいなくなるからです。でも、Tさんなら最後までやり通すような気がします。私が受け持った時も意志が強かったですから。

Tさん、あなたならきっと、日本で実り多い勉強ができますよ。自信を持って進んでください。

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84万-145万

2月26日(土)

去年の日本の出生数は84万人で、死亡数は145万人だったそうです。人口の年間61万人減も大変な数字ですが、死亡数が出生数の1.7倍という方がショックです。感染症の影響で今年も生み控えが続き、その感染症によって毎日200~300人死亡数が上乗せされるとしたら、今年はダブルスコアになってしまうかもしれません。

リモートワークの広がりによって東京の人口が減りましたが、札幌も人口が減り始めたそうです。札幌はリモートワークによって人口が減ったとは考えにくいですから、こちらも自然減の拡大によるのではないでしょうか。もはや、日本中、人口が増える要素のある町はないのではないでしょうか。

この日本を上回る勢いで人口が減りそうなのが韓国です。出生率が0.81といいますから、あっという間に子どもがいなくなってしまいそうなペースです。中国も、国民の自主的な一人っ子政策が続いています。こちらも早晩人口減に転じるのは確かなようです。遠からず、人口世界第一位の座をインドに明け渡すことでしょう。

韓国や中国に限らず、日本語学習者の多い国々は少子化が進展しつつあります。そうなると、日本留学のお得意さんが軒並み市場縮小ということで、感染症に関して2019年以前に戻ったとしても、日本語教育界は明るさを取り戻せないかもしれません。

しかも、鎖国政策で世界中の若者の日本留学に対する意欲が衰えています。日中は春を思わせる暖かさでしたが、ちょっと先を見通すと、日本語学校の冬は当分続きそうです。86年前の雪の日のような…。

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遅きに…

2月18日(金)

やっと開国に一歩踏み出しました。水際対策を少し緩めるという発表がありました。しかし、1日5000人で、しかも航空券を取った順だという話も聞こえてきます。どうせまっ先にビジネスで、留学生よりも技能実習生のほうが早いんじゃないかな。その留学生も、大学・大学院が優先でしょう。日本語学校の学生が入国してくるのは、まだまだ先のようです。文科相が、留学生の入国手続きを簡素化すると言ってくれているのが、せめてもの慰めです。

今回の入国規制緩和も、岸田さんオリジナルの判断というよりは、各方面からつつかれて重い腰を上げたという感じがします。海外からの不満も、かなり強く背中を押す結果となったのではないでしょうか。何かしかるべき戦略があって開国に進んだのではなく、雰囲気に流されてちょっかいを出してみたというのが実情のような気がします。だから、この逆コースにも容易に進みうるのです。

留学生は、今すぐ日本にとって役に立つ存在ではありません。将来に向けての先行投資です。種をまいておくという発想で、留学生をかわいがってもらいたいです。留学生自身同様、周囲の日本人学生への影響も考慮の余地があります。交換留学生として海外へ向かう学生はもちろんのこと、ネットを通してしか外国人を知らない日本人学生にどれほどの刺激を与えてくれるでしょう。

それにしても、ここまで待てずにKCPを去っていったKさん、Rさん、Pさんたちはこのニュースを聞いているのでしょうか。もう一度こちらを振り向いてはくれないでしょうね。

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次の段階

2月9日(水)

昨日面接をしたSさんが、指定校推薦の手続きをしに学校へ来ました。私はT大学に進学する意志の最終確認と、仮にも学校が推薦するのですから、それにふさわしい学生であり続けることなどをはじめとする、その他もろもろの注意事項の伝達をしました。Sさんは緊張気味に耳を傾けていました。

ここ何年か、指定校推薦で進学を決めた学生が、合格後にそれにふさわしくない行動に走る例が出ています。この制度は単なるすべり止めや他大学に落ちた場合の保険などではありません。また、ある特定の学生個人を利するために存在しているのでもありません。大学側が学生確保を図り、こちらがそれに乗っかっているわけでもありません。真に勉強する意志と能力のある学生を、その意志と能力を受け止めてくれる大学に送り込むための精度です。大学とKCPとの間の信頼関係に基づいて成り立っているのです。

この信頼関係にひびを入れるような振る舞いをしないようにと何本も釘を刺しておくというのが、指定校推薦における私の役どころです。指定校推薦の誓約書に書かれていることをすべて守ってくれたら、全教職員が心から応援したくなること疑いありません。いや、周囲の学生だって、“SさんにはT大学でいい勉強をしてほしい”と思うことでしょう。

指定校推薦の出願書類などを受け取り、作成方法の説明を受け、Sさんは帰って行きました。出願を済ませたら、今度はT大学での入試面接の練習も始めなければなりません。Sさんの思いがT大学の先生方に伝わるように、先生方の心をつかめるように、指導していきます。

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ひたひたと

2月3日(木)

学校に通っているお子さんをお持ちの先生方が、その学校が休校になったためお子さんの世話をしなければならず、KCPに出勤できなくなったという例が出てきました。その他、数日前に陽性判明者と一緒に食事したとか、濃厚接触者に濃厚接触したとか、家族が陽性になったけど自分はずっと陰性だとか、昨年の第5波までには見られなかったケースが出てきました。この第6波は新規感染数が桁違いに多く、今までのように安泰ではいられなくなったようです。

自宅からオンライン授業といっても、私のうちはそういう対応になっていません。そもそも、授業データが学校のコンピューターに格納されており、簡単にはアクセスできません。授業以外の仕事も、学生の個人情報や部外秘のデータなど、外に持ち出したくないものを扱うことが多いので、気安く在宅勤務というわけにはいきません。何より、私は家に仕事を持ち込みたくない人間ですからね。

今まで通り、人ごみは避ける、むやみにマスクを外さない、余計なものにさわらない、手洗い励行、体力温存など、予防を心がけるだけです。私の周りの先生方も、私とやり方は違いますが、各方面に注意を払って生活なさっている様子がうかがえます。みんな、変なものを拾わないように、必死なんですよね。

そんな中、明日から北京オリンピックです。去年の東京オリンピックも興味が持てませんでしたが、今回はそれに輪をかけて関心がありません。競技の中継でブラタモリがお休みになり、邪魔くさいなあと思う程度でしょうか。11月に始まるワールドカップは、心おきなく日本代表を応援できるといいですね。

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更新

1月21日(金)

日本語教師養成講座の講義資料を再構成しています。最初に資料を作ってから軽く10年以上経っていますし、その間にあれこれ継ぎ足してきましたから、かなり不細工になっています。目にしたり耳にしたりした日本語の用法をもとに調べたことを付け加えたり、専門書を読んで得た情報や知識から新しい文法のとらえ方を編み出してみたりということをしてきた結果、真に重要な事柄が埋もれがちになっています。そういう点を修正し、伝えるべきことがきちんと伝わるように教材を作り直しているのです。

文法をはじめ、いろいろな科目を担当していますから、科目間で内容が重複しているところや、有機的に連携した方がいいところも見えてきました。最近買い込んだ専門書も研究して、どこかに組み込みたいとも思っています。これらの事柄を整理整頓して、すっきりまとめたいところです。

日々、日本人は日本語を使っていますが、助詞の「に」の用法を10以上に細分して考えるなどということはしていません。そんな必要もありません。しかし、日本語教師は、日本語とは言語体系の違う言葉を操ってきた人たちに、日本語という新たなシステムを導入するのですから、日本人の気が付かない日本語の裏面まで知りつくしておかなければなりません。そのお手伝いをするのが、養成講座です。

半年ごとぐらいにこの講義資料を使って講義をしてきたのですが、作り直すつもりで講義資料を読み返してみると、今まで気づかなかった発見もあります。私もパワーアップしなきゃね。

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EJU実施要項

1月17日(月)

EJUの実施要項が届きました。今年は6月19日と11月13日です。これは予定通りと言えましょう。その他の日程も受験料なども特段の変更はありません。いつもと同じかと思ったら、同封の書面には「2022年度より、団体申し込みをした受験生の成績を、受験者本人だけでなく、団体担当者も見られるようにいたします」と書かれていました。

JLPTではだいぶ前からこれができました。学校で団体申し込みすると、出願した学生の成績がコンピューター上で見られますから、学校としてのデータもまとめやすいですし、個々の学生の指導にも持って行きやすいです。しかし、EJUはそうなっておらず、進学指導の資料として使おうにも、学生からいちいち成績を聞き出さなければなりません。以前は成績通知書が学校に送られてきましたから、それを渡す時に学生に成績を申告させることができました。しかし、最近は成績通知書が廃止になったので、学生の成績を知るのが難しくなりました。

それなのに、EJUの成績は、日本語学校の学生管理の一環として、入管への報告事項の1つとなっています。これではどうしようもないですから、学校側で学生のEJUの成績が把握できるようにしてほしいと要望し続けてきましたが、やっとそれが実現しました。

そういったうれしいニュースの数行下に、「悪質なカンニングに対し、本機構では引き続き厳正に対応してまいります」と書いてありました。こういうことを書かなければならないほど、EJUでカンニングが横行しているという噂は毎回ささやかれています。昨日までの共通テストでは、スマホを股に挟んでいた受験生が摘発されたそうです。しかし、11月のEJUでは、問題を塾に送って解いてもらってそれをマークしたなどの不正行為がスルー状態だったと学生が言っていました。

このままの半鎖国状態が続けば、EJUの受験生は昨年よりさらに減りそうです。その少ない受験生に公正な試験を実施し、努力した受験生が報われる試験にしてもらいたいです。

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チャイムがない日々

1月14日(金)

おととし、オンライン授業が始まって以来、校舎内のチャイムを止めています。学生がいなかったらチャイムは無意味だし、対面授業の時でも密を避けるためにレベルごとに授業時間をずらしていますから、全校が統一的に動くことがありません。それゆえ、学生が来ていてもチャイムは鳴らしません。

午前中、用事があって学校の中をうろちょろしていたら、外階段の踊り場でおしゃべりしている学生たちに会いました。時計を見ると、中級レベルの休憩時間に差し掛かっていました。私が通りかかると、わざわざおしゃべりを中断して「先生、こんにちは」とあいさつしてくれました。私も「こんにちは」とあいさつを返すと、その学生たちは安心したかのようにおしゃべりを再開しました。

校舎内に入ると、廊下のベンチで黙食している学生やエレベーターホールで立ち話している学生がちらほら程度。密回避にはなっているようでした。私が前を通ると、黙食の学生はぴょこんと頭を下げました。食べながらスマホに熱中している学生は、もちろんそのまま。立ち話の学生は「こんにちは」と言ってくれました。KCPの学生は義理堅いですね。担当の先生が教室に入ると、それにくっついて学生たちも教室に収まっていきました。

授業を担当している時は、チャイムが鳴らないのにすっかり慣れてしまいました。授業をしていない傍観者の立場だと、いつの間にか学生が湧きだしたり、潮が引くように消えていったり、その波が何回か押し寄せたりというのが、まだ不思議な感じがします。

新規感染者数が順調に力強く増えていますね。チャイムに合わせて全校一斉にという日が、ぐんぐん遠ざかっていくようです。

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雪国?

1月6日(木)

お昼ごろから降り始めた雪は、学校の前の道路を真っ白にしています。外に止めてある車は、ボンネットも窓も屋根もすっかり雪で覆われて、大きな雪玉と化しています。人通りも少なく、たまに歩いている人はおっかなびっくりという感じで足を進めています。

昨シーズンは雪がほとんど降らなかったと思いますから、積雪はかなり久しぶりのはずです。そうすると、交通機関の備えが心配になってきます。すでに道路は通行止めのところが出ているようです。帰宅時間帯の電車はどうなるのでしょう。遠距離通勤のT先生は、無事帰れるでしょうか。

学校の中では、ハイフレックス授業の勉強会が行われました。対面とオンラインと、両方の学生を満足させ、学習意欲を損なうことなく効果的に実力を伸ばしていくにはどうしたらいいのか、みんなで考えました。この両刀づかいは、もはやできて当然、教師の標準装備となっています。

その一方で、職員室には学生の姿も。学期休み中に学校へ来ている学生は、前の学期の成績が振るわなかったとみて間違いありません。進級できないという連絡を受けて、何とかしてもらいたくて足を運んだのでしょう。雪の中、ご苦労様なことですが、その決定が覆ることは、まずないでしょう。

明日の朝は、Sさんの面接練習をすることになっています。天気図を見ると、この雪を降らせている低気圧は今晩中に東の海上に抜けることになっていますが、路面が凍結すると、雪が降りしきる中以上に足元が危なくなります。南国出身のSさん、ちゃんと来られるでしょうか。

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