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寒くないですか

6月12日(水)

今週は肌寒い日が続いています。長袖シャツをしまい込んでしまった私は、半袖で意地を張っています。外に出たら本気で歩き、体熱を発生させて寒さを吹き飛ばします。しかし、校舎内にいるとそうそう激しく体を動かすことはなく、やっぱり押し入れから長袖を引っ張り出した方がいいかなあと思うこともあります。

学生は若い分だけ新陳代謝が激しく、私と同じくらいの薄着でも寒さは感じていないようです。受験講座に出ているSさんなどがそのいい例です。Sさんが教室に入ると、いつの間にかエアコンがついています。受験講座は通常クラスの日本語授業ほど人数がいませんから、また、今学期の教室は日当たりが悪いですから、冷房はあっという間に効いてきます。教師は日本語授業ほどアクションをすることもありませんから、体熱は奪われる一方です。

でも、教室が暑く感じるのはSさんだけのようです。KさんやYさんもエアコンの吹き出し口を見上げています。「ちょっと寒いんですが…」と言ってくれればすぐエアコンを切ってあげるのにと思いながら、学生たちの無言の駆け引きを見ています。

Gさんはやせ形で暑がりには見えないのですが、毎朝、ラウンジのエアコンをつけてくれと職員室に言いに来ます。ラウンジは、自動販売機やパソコンからの排熱で、日当たりが悪いわりには温度が高いです。また、8時を過ぎると学校へ来てから食事をする学生がけっこういて、テーブルがさらっと埋まるぐらいにはなります。だから、外では何か羽織っていても、ラウンジではエアコンが欲しくなるのです。

外はあまり暖かくないのですが、校庭のテーブルは意外と人気があります。昼休みはお弁当を広げたり勉強したり談笑したりする学生が絶えません。東京の12時の気温は20度でした。外で食べるなら、もう3度ほしいな。

来ません

5月10日(金)

朝、教室に入ると、Sさんがいませんでした。YさんとJさんもいませんでしたが、こちらは大学の卒業式で一時帰国という届が出ています。でも、Sさんからは何の連絡もありませんでした。

授業後、Sさんに電話を掛けました。呼び出し音が鳴りましたが、「またお掛け直しください」でした。その後しばらくして、Sさんからメールが届きました。昨夜、アルバイト先の人と飲みに行って、帰宅したのが3時で、だから朝起きられなくて学校を休んだという内容でした。3時といえば、私が目を覚ました時間じゃありませんか。要するに飲みすぎで休んだということです。

出席状況のデータを見ると、Sさんは3月から欠席が増えています。2月までは100%に近い出席率だったのに、3月以降は70%台に落ちています。これはここで踏みとどまらせないと、ずるずると落ちていくパターンです。甘い顔をしていると、休み癖がついてしまい、来年の3月、行き場所がなくて帰国を余儀なくされてしまいます。

SさんよりひどいのがFさんです。こちらはすでに休み癖がついてしまい、病気だと言えば堂々と休めると思っている節が見られます。その証拠に、来日以来病院へ行った形跡がありません。入学からの出席率がすでに70%をかろうじて上回るところにまで落ちています。ビザの切れ目が縁の切れ目になりかねません。本当に病気なら休まなければなりませんが、病気にならないことも留学生の大きな仕事です。生まれつき病弱なら、留学生活に耐えられないとして、帰国を促されるでしょう。

Fさんにはそういう話をしました。来週から行いを改めてくれれば、まだ間に合います。改まらなかったら、日本へ来たのは勉強のためじゃないんですねということで、ご帰国願うほかないでしょう。

来るって言ったじゃない

2月5日(火)

Kさんはもうずいぶん長い間休んでいます。つまずいたのは夏です。それまで出席率ほぼ100%だったのに、風邪をこじらせて数日休んだのが転落の入口でした。どうにか持ち直したものの、体調は完全には戻らず、休みがちになってしまいました。

夏学期はそれまでの貯金がありましたから、入学からの出席率を見る限り、ボーダーラインを上回っていました。しかし、秋になってもKさんの体調は完全には戻りませんでした。出席すると、授業に積極的に参加し、発言も多く、成績もそれなり以上です。日本語のセンスがあるのでしょうね。でも、たびたび欠席したため、Kさん自身にとっては思うように力が伸びていないという焦りが芽生えてきたようでした。

秋口から何校か大学を受験しましたが、結果を出せませんでした。19年4月入学を目指すには志望校を落とさざるを得なくなり、本人的には忸怩たる思いでさらにいくつかの大学に出願しました。その大学の入試が近づき、また、実際に寒さで体調を崩し、今学期になってから欠席が増えてしまいました。

ゆうべ、Kさんからメールが来ました。不本意な大学に出願することになり、周りの友人に合わせる顔がないと言っていました。「明日から学校に出ます」という文面を信じたのですが、…やっぱり、12:15まで姿を現しませんでした。

もう、肉体的にも精神的にも、留学に耐えられる状態ではないのだと思います。Kさんには日本語のセンスがたっぷりありますから、是非勉強を続けてもらいたいのですが、無理でしょうね。歯車が悪いほうへ回転し続けています。帰国して出直すのが、Kさん自身のためです。次にKさんが来た時には、そう諭すつもりです。

涙のかなたに

9月27日(木)

Kさんは7月までは欠席もほとんどなく、成績も優秀で、何の問題もない学生でした。しかし、7月末に体調を崩してからというもの、なかなか健康を取り戻せず、しかも、熱がある時に体を動かしたら階段から落ちてけがまでしてしまいました。精神的にも参ってしまい、今月もほとんど登校していませんでした。

そのKさんが、期末テストを受けに来ました。テスト範囲の授業をほとんど聞いていないのですから、テストを受けてもできるはずがありません。並の学生なら「どうせ…」と思って休んでしまうものですが、Kさんは出てきたのです。顔を見ると明らかに調子が悪そうだったのですが、テストを受けるとともに、今までの事情を説明に来たのです。

Kさんは来学期以降もKCPで勉強したいと言いました。私も、こうしてきちんと現状を明らかにしようというKさんなら、このままずるずると長欠に陥ることはないでしょう。健康状態が回復すれば、勉強を続けてほしいと思います。しかし、「健康を回復すれば」という大きな条件が付きます。今、日本で勉強を続けるよりも、一旦帰国して体を完全に治してから再挑戦したほうが、Kさんにいい結果をもたらすかもしれません。勉強を継続するか帰国するか決められるのは、Kさん自身です。Kさんならその判断ができると思います。

そういう話をしたら、Kさんは泣いてしまいました。涙の理由は聞きませんでしたが、自分自身に対して涙していたことは確かです。国で勉強していたら流すことのなかった涙でしょう。同じ国から来ている同級生のYさんが慰めていました。どういう結論に至っても、この涙が無駄にならないことを祈るばかりです。

違う頭

6月2日(土)

来週は養成講座の講義があるので、そこで使う資料の点検をしました。今までに何回か使ってきた資料ですが、読み返すたびにちょこちょこ手を入れたくなります。もう少し正確に言うと、しばらく動かしていなかった頭の部分に血を通わせながら資料に目を通すと、あれこれ疑問点が浮かび上がってくるのです。新鮮な目で見ると、前回まで使ったときには気づかなかったあらが見えてくるのです。

こういう説明やデータが足りないんじゃないかとか、これは回りくどい表現だとか、半年ぐらい前にその資料を作った自分自身に突っ込みを入れつつ作業を進めます。これは決して面倒くさい、できれば避けたい仕事ではなく、修正のために調べ物をすることは、心地よい脳みその体操です。

私の場合、日本語のほかに理科も教えています。午前中が日本語で、午後から理科というパターンもしょっちゅうです。そのたびに、脳の切り替えというか、頭を作り上げていく感じがします。日本語を教えているときは大脳の言語野が活性化されていて、理科のときは別の部分が働いているのでしょう。養成講座の講義では、これらとはまた違う部位を活動させているようにも感じます。一度、脳の血流を測る装置でも装着して授業をしてみたいです。

さらに私は、学校を一歩出たら読書人になります。朝の電車の中か昼の食事のときかに読んだストーリーを思い出し、電車に乗るや否やそこに没入します。頭のいろいろなところを使うとボケないとかいわれていますが、私の場合はどうなのでしょう。このごろ忘れっぽくなったり根気が続かなくなったりしています。マルチタスクでそういう劣化を何とか押さえ込みたいです。

強行出席

1月30日(火)

先週インフルエンザにかかって昨日まで休んでいたLさんが、朝7時半頃学校へ来ました。医者に5日間休めと言われ、もう5日休んだから出てきたと言います。職員室で休んでいた間のテストを受けましたが、明らかに調子が悪そうな顔つきであり、全身から病気のオーラが出ていました。このまま無理して学校にいたら病気がぶり返さないとも限りませんから、N先生、H先生たちと一緒にもう1日休むことを勧めました。しかし、どうしても帰ろうとしないので、最後はみんな命令口調でLさんを諭しました。Lさんのクラスを担当したN先生によると、授業中にもまた姿を現したので、クラスメートに移るからと追い返したそうです。

すきあらば学校を休もうとする学生が多い中、Lさんは休んだことがないため、先週末から家にいても不安でならなかったのでしょう。学校を生活の中心に置いていることは、さすが奨学金受給生と言うべきです。しかし、病気をこじらせてしまっては、元も子もありません。休むべきときには徹底的に休むという姿勢もほしいものです。

Lさんを見ていたら、稀勢の里を思い出しました。稀勢の里も、けがを徹底的に治さず、本場所に出ては負けて休場を繰り返しています。責任感が強いことはわかりますが、現状では横綱としての責務を果たしているとは到底言えません。もっと大所高所に立つべきなのです。自分を俯瞰する位置に視点を置き、全体の中の自分をきっちり把握し、その上で何をなすべきか考えてほしいです。

Lさんは、未練たらたらながらも、最終的には帰りました。元気を取り戻すまでゆっくり寝て、この際ですから休み方も覚えましょうね。

ヒアリが攻めて来た

7月6日(木)

強い毒を持つヒアリが国内で初めて見つかったのは、先月の半ばのことでした。それから1か月もたたないうちに、神戸、岡山、大阪、名古屋と続々発見され、ついに東京でも発見されました。関東以西の太平洋・瀬戸内海沿岸は気温が劇的に違うわけではありませんから、その地域はどこにでもいると思っていたほうがよさそうです。

でも、日本海沿岸は冬の雪のおかげでだいぶ違うんじゃないかと思います。南米原産で、マレーシアや中国の広州あたりに住みついていたとのことですから、寒さには弱そうな気がします。となると、鳥取なんかは緯度的には南のほうかもしれませんが、今年の1月から2月にかけてのような1メートル近い大雪も降ることがありますから、ヒアリにとっては厳しすぎる気象条件だと思います。

こう考えると、雪はその白さで穢れを覆い尽くすという視覚的精神的効果だけでなく、生物学的にも日本人を南方の生命力のありすぎる猛毒生物から守ってきたと言えます。日本人は雪と戦ってきたことも確かですが、雪は人に牙をむくばかりではありません。日本人を優しく包んでいてもくれたのです。

ヒアリはどうやら輸入品のコンテナに伴って侵入してきたようですが、最低気温上昇の影響も見逃せません。グローバル化と温暖化が保護膜を溶かし、日本が丸裸になってきたような気がします。快適な生活を追い求めてきたら、身の回りに危険が忍び寄っていたというわけです。

藤井四段の連勝が止まるとともにヒアリが広がった――なんていうふうに、年末に総括されるような1年になってほしくないです。

命綱

9月20日(火)

次から次へと仕事が入ってしまい、もうすぐ夜の8時だというのに朝食以降飲まず食わずです。でも、空腹感はありません。そういう感覚を超越してしまったのです。

ただ、最近、あまりおなかが空かなくなったような気がします。だから、お昼抜きでもお菓子か何かをちょっとつまめば夜までもってしまいます。夏休みも、あれやこれやと見学・見物に忙しくて、昼食は満足に取れなかった日が多かったのですが、別に何ともありませんでした。

年を取って新陳代謝が衰えたせいなのでしょうか。便利な体になったといえば、実にその通りです。授業の合間にパンやらおにぎりやらをぱくついている学生を見ていると、よく入るなあと感心してしまいます。ラウンジの自動販売機に並ぶ学生の列を見ては、そうまでして食べたいかなあと思ってしまいます。

ついこの前までは、お昼を抜くと2時から3時ごろにものすごい空腹感に襲われたものです。近頃はその空腹感がなくなり、むしろ、ご飯を食べると強力な睡魔に襲われるのです。コーヒーでごまかしていますが、病気かなあと心配になることもあります。でも、健康診断のときに相談しても何も言われませんでしたから、単なる怠け癖に過ぎないのかもしれません。

そして、今すぐ家へ帰っても9時過ぎ。そうなると、夕食をとるのも面倒くさくなり、汗を流して、果物(最近は青いみかん)を食べて、メールをチェックして、寝てしまいます。となると、1日1食。それでもどうにか体がもっているのは、朝、ガッツリ野菜を食べているからです。言ってみれば、野菜が命綱なのです。

のんびりしてると台風が迫ってきそうなので、手付かずの仕事はそっくりそのまま明日に持ち越しです。あーあ、明日の準備もまだ全然済んでいないというのに…。

帰っちゃうの?

6月3日(金)

Eさんは、とうとう今週1週間、休み続けてしまいました。腰に古傷があり、その具合が悪くなると休むことはありましたが、1週間ぶっ通しというのは初めてです。週の始めに1度だけメールで連絡がありましたが、それ以降は電話をかけてもつながりません。中間テストはかろうじて合格点を取っていますが、こんなに休んでしまったら、もはや進級も覚束ないでしょう。

Eさんも進学を希望していますが、1週間も連続して休まなきゃならないような爆弾を抱えているのなら、それもはかない夢になってしまいます。日本留学を決意した時に、爆弾のことは考えなかったのでしょうか。自分の体と相談して、日本に留学したいのは山々だけど、断腸の思いであきらめようという方向に議論が進んでもおかしくなかったはずです。

私は海外留学をしたことがありませんからあんまり偉そうなことは言えませんが、私がEさんだったら、怖くて留学なんかできなかったと思います。言葉も満足に通じない国に、時折暴れる古傷とともに留学してしまう度胸は、私にはありません。

じゃあ、Eさんにはそういった恐怖心を押さえつけるほどの向学心や克己心があるのかと問われると、それほど強固な精神性は感じられません。薄ぼんやりとした憧れで来ちゃった口だと思います。噂によると、治療のため一時帰国するかもしれないとも言われています。治療が長引いたら、退学も考えなければなりません。今までにも欠席がありますから、ビザ更新が問題になりかねません。

昼休みは、校内で開かれた進学フェアに出て、各大学から来てくださった担当者から話を聞く学生でにぎわいました。Eさんの志望校のブースにも学生が集まっていました。Eさんが参加していたらどんな話を聞くのだろうと、学生たちの後姿を見ながら思いをめぐらしました。

あいたたたっ

11月24日(火)

三連休をずっとうちで過ごしたおかげで風邪はどうにか峠を越してもうすぐ治りそうな気配になったのですが、ゆうべ、風呂場で腰を痛めてしまいました。立ったり座ったり歩き始めたりという動作の変化が一番しんどく、歩き続けるなど、同じ動作を続けている分にはさほど痛みは感じません。ただし、歩くスピードはいつもの半分くらいですが。

これじゃどうしようもないので、どうせ慢性の腰痛と診断されるんでしょうが、授業後、学校の近くの整形外科へ行きました。すると、背骨の一番下にある椎間板が薄くなっていて、何かの動作の際に骨が神経を刺激するとのことでした。寝ている間に時々脚がつることがあるのですが、それも椎間板が薄くなっているために脚に向かう神経が刺激されて起こるのだという説明でした。

説明はよくわかったのですが、やはりこれといった治療法はなく、電気マッサージと痛み止め、シップという、今までにもしてきたような治療と、医者に診てもらうまでもない対症療法です。そのうち痛みが治まり、小康状態になったらいつの間にか治療中断というパターンでしょう。

起きている間に知らず知らずのうちに傷ついた体を治すのは、睡眠だそうです。だから、睡眠不足だと傷が治りにくくなるのだそうです。身近な科学で睡眠について調べていたら、こんなこともわかりました。私の慢性腰痛の一因は、睡眠不足にあるのかもしれません。でも、私は6時間も寝ると、腰が痛くなって目が覚めます。体勢を大きく変えないと、続けて眠れないのです。それから、バーベキューの後から今朝まで、本当によく寝ましたから、ゆうべ風呂に入った時点では、全然寝不足ではありませんでした。要するに、老化が着実に進んでいるということでしょう。

老化が進むのはしかたのないことですが、動けなくなるのは困ります。仕事ができなくなるから? いえいえ、遊びに行けなくなるからです。人生の楽しみが消えてしまいます。