Category Archives: 社会

寒いですね

12月24日(土)

今朝の東京の最低気温は氷点下0.1度で、今シーズン初めての冬日を記録しました。しかし、全国に目を向けると、北日本のみならず、高知や徳島まで10cm以上の積雪だというではありませんか。名古屋や博多の雪はさほど珍しくありませんが、坂本龍馬や阿波踊りの踊り手が真っ白になっているのは、異様な雰囲気です。

確かに東京も寒いですが、こんな程度で文句を垂れていては、大雪で往生している地方の皆さんに申し訳ありません。しかも、この寒波も、地球温暖化の影響だというじゃありませんか。線状降水帯の雪バージョンのような気圧配置になってある特定の地域に雪が降り続き、その原因が温暖化ということで、何がどうつながっているのか、よくわかりません。

温暖化のために大雪が降っているとすると、雪質はどうなのでしょう。パウダースノーではなく、水っぽい雪なのでしょうか。だとすると重い雪ですから、除雪にも時間や労力がかかりますし、建造物などへの被害も大規模になるでしょう。雪遊びなんかしたら、水浴びしたみたいになってしまうかもしれません。

今朝の職員室も寒かったですね。鉄筋コンクリートがキンキンに冷えている感じでした。思わず、エアコンの温度設定を最高にしてしまいました。それでも指先が冷えますから、マグカップにお湯を入れて、それを握りながら仕事をしています。来週からは、カイロを持ってこようかな。でも、ずいぶん長い間使っていませんから、もう温まらないかもしれませんが…。

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クリスマスは家族と

12月17日(土)

学期末が近づくと、アメリカの大学のプログラムでKCPに留学している学生の会話テストがあります。私も毎学期試験官として数名の学生のお相手をします。昨日はMさんとJさんのテストを受け持ちました。

私の場合、ごく普通の会話をしながら学生の力を見ていきます。発音やイントネーションはもちろんのこと、こちらの言葉をきちんと聞き取って理解してしかるべき応答ができるか、今までに習った文法や単語をどれだけ正確に適切に使えるか、そして何より、会話が弾んでいるかが大事な点です。

昨日の2人に共通していたことは、21日の期末テストが終わったらすぐ帰国して、クリスマスは家族と一緒に迎えるという点です。クリスマスはどうするかと聞いたら、喜々としてクリスマスの計画を話してくれました。Jさんは、日本で買いそろえた家族へのクリスマスプレゼントまで詳しく教えてくれました。

もちろん、2人とも1月11日の始業日までに日本へ戻ってきます。去年は、そんなに簡単に国の出入りができませんでした。日本にいる学生たちは、オンラインクリスマスが精一杯でした。今年は緩和のおかげで、航空券はきっと高いのでしょうが、家族とおいしい料理を食べたり、プレゼントの交換をしたりすることができるようになりました。もちろん、感染状況に関しては油断できませんが、だいぶ以前の状態に戻ってきたのではないかと感じさせられました。

2人とも、クリスマスのおかげで会話が弾み、テストは高評価です。特にMさんはミスがほとんどありませんでした。Mさんの町もJさんの町もホワイトクリスマスのようですから、美しい景色とやさしい家族に癒されてきてください。

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すごい歴史のある駅舎

12月10日(土)

朝ご飯を食べながら、旅番組(の録画)を見ていました。レポーターがあるローカル線の駅に降り立ち、「うわー、すごい歴史のある駅舎ですね」と言いました。その瞬間、私は強烈な違和感に襲われました。テレビ画面には木造の古くて格式のありそうな建物が映っていましたから、それを見れば誰だって歴史を感じさせられます。実際、明治時代に開業した時の駅舎ですから、100年余りの歴史があります。

私の違和感の根幹は、レポーターの言葉を「“すごい歴史”のある駅舎」と受け取ったところにあります。“すごい歴史”ってどんな歴史なんだろうという方向に考えが進んでしまったのです。それゆえ、歴史の内容などお構いなしのレポーターの番組進行についていけなくなったというわけです。

“すごい”は、形容詞です。その“すごい”という形は終止形または連体形です。レポーターが発した“すごい”は、“歴史”という名詞の前に置かれていますから、連体形だと考えられ、“すごい歴史”で名詞句を形成しています。これが私の受け取り方でした。

しかし、レポーターは“すごい”を形容詞として使っていません。“歴史のある”にかかる言葉、連用修飾語として用いています。すなわち、“すごい”を副詞として使っています。この“すごい”の副詞的用法、本来の形容詞としての用法よりはるかに広まっています。私が見ていた場面だって、レポーターが「すごく歴史のある駅舎ですね」と言っていたら、逆におやっと感じる人が結構いるんじゃないでしょうか。

でも、「Aさんはすごい背の高い人ですね」だったら、違和感はかなり弱まります。“背の(が)高い”の結びつきが強力で、“背”そこからだけを取り出すことができないからでしょう。“歴史の(が)ある”は、“歴史”だけを分離できる程度の結合の強さなのです。

では、「Bさんはすごいお金を持っている」はいかがでしょう。みなさん“大金持ち”と受け取るでしょうね。「Cさんはすごい車を持っている」はどうですか。車の所有台数が多いのではなく、一度見たら絶対に忘れられないような特徴的な車を(おそらく1台)持っていると考えるほうが普通だと思います。これも、“お金を持っている”は一語のごとく振る舞えるのに対して、“車を持っている”は、“車+を+持っている”と分解するほうが自然だからです。

ちょっと学生に試してみたくなりました。

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教室回り

12月2日(金)

残念なことに、休み時間に少なからぬ学生が少し離れた駐車場まで遠征し、タバコを吸って、吸殻をポイ捨てしていました。近隣住民からの通報もあったので、学生の一団がニヤニヤしながら学校に戻ってくるのを見かけたO先生が学生の来た道をたどっていくと、駐車場に行きつきました。そこに吸殻が大量にたまっていましたから、証拠物件の押収も兼ねて、掃除もしてきました。

その証拠物件を持って、吸ってきた学生がいそうなクラスを回って、注意してきました。初級クラスには各国語の通訳もつけて、趣旨の徹底を図りました。どのクラスの学生も神妙な顔つきでこちらの話を聞いていましたが、本当に話の効き目があったかどうかは、来週になってみないとわかりません。来週も大差がなかったら、何か別の方法を考えなければなりません。

KCPの近くには、おおっぴらにタバコが吸えるところはありません。学校にいる時間帯は、タバコは吸えないものと思ってもらいたいです。タバコを吸うことによって、受動喫煙はもちろんのこと、吸殻の処理などによっても、周りに迷惑が掛かります。授業中に教師が乱入して無関係な話を聞かされた非喫煙者は、たとえトータルで5分ほどであったとしても、教育の機会を奪われたのです。しかも、証拠物件の吸殻が発するあの独特な悪臭までかがされて…。露骨に顔をゆがめて鼻の前で手を振っていた学生もいました。タバコが吸いたいと思ったら、そんな迷惑になど一顧たりともしないのでしょう。

そもそも、他人の敷地に入ることも、そこでタバコを吸うことも、吸殻を捨てることも、すべて法律違反か新宿区の条例違反です。触法学生は、除籍処分の要件に該当します。そうなったら、日本で進学も就職もあったものではありません。喫煙学生に猛省を促したいです。

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真ん丸

11月29日(火)

昨日の夕方です。職員室で授業中に書かせた例文の添削をしていたら、「先生、卒業生が来ています」と声をかけられました。職員室の入り口付近のテーブルをはさんでA先生が誰かと談笑しています。その顔にはあんまり見覚えがありませんでした。「Sさんですよ」と言われても、ピンときませんでした。近くを見る時用の老眼鏡をかけていたので、遠くがはっきり見えないということもありました。

例文添削の切りのいいところでメガネを取り換えて、“Sさん”のいるテーブルまで行きました。近づいてよく見ると、「あーあ、あのSさんだ」と、線がつながりました。Sさん、太りすぎですよ。そんな真ん丸な顔じゃ、わかるわけないじゃないですか。卒業間際もおなかがかなり危なかったですが、顔まで来ちゃってますよ。

Sさんは、後で調べてみると、2019年に専門学校に進学しました。確か、Sさんと入れ替わりぐらいのタイミングで、妹さんもKCPに入学したはずです。Sさんの方は、専門学校卒業後、日本で就職しました。そして、このたび、転職したそうです。どうやら、技術を見込まれて、責任ある仕事に就くようです。

Sさんのウリは、技術力もさることながら、コミュニケーション力だと思います。日本語会話が上手だというだけではなく、こうして転職の報告にわざわざ来てくれるところがうれしいじゃありませんか。人を引き付ける力があるからこそ、異郷でも地位を築いていけるのです。

大したもんだと思います。確実に上昇気流に乗っていますね。新しい会社でも大きな仕事をして、さらなるステップアップを目指しているのでしょう。自分の手で将来を切り開いているSさんがまぶしかったです。

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ブラタモリ安曇野

11月28日(月)

先週の土曜日は、少々早く帰って、家で晩御飯を食べながらブラタモリを見ました。ブラタモリは、地学ファン、塵ファン、歴史ファンにとっては必見の番組です。毎回引き込まれ、番組終了後にネットで詳しく調べたり、地図で地形や道路・鉄道などの様子を再確認したりします。これを始めると、あっという間に夜が更けてしまいます。それどころか、時には時間とお金を都合して、現地調査に赴くこともあります。

先週の土曜日の訪問地は、安曇野でした。オープニングの安曇野を見下ろす景観は、足を運んで、ぜひ自分の目で見てみたいと思いました。松本は何回か行ったことがありますが、安曇野は通ったことがあるだけです。北アルプスの山並みがきれいなところだという印象はありますが、町の中をじっくりと歩いたことはありません。だから、どんなところかという興味も手伝って、番組の最後まで45分間、たっぷり楽しませていただきました。

実は、先週の金曜日に、毎年恒例、A先生のご実家から学校にりんごが届きました。そのりんごの箱に、“安曇野”と大書してあったので、土曜日のブラタモリはどうしても見たかったのです。りんご畑が登場するかなと期待していましたが、そちらははずれてしまいました。番組最後に出てきた穂高神社のお祭りの日が、神社のホームページによると9月27日でしたから、りんごの花には遅すぎるし、実が赤くなるには早すぎるしということで、取り上げられなかったのでしょう。まあ、でも、安曇野は複合扇状地で水はけのよい土地が多く、そこでりんごが栽培されているのだろうという見当は付きました。

さて、A先生のりんごですが、少し色づきの薄いのを選んできました。しばらくうちに置いて、目の保養をさせてもらった後で、おいしく味わおうと思っています。

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友蔵さんの社会

11月26日(土)

12月1日(木)に、静岡鉄道がダイヤ改正を行います。静岡鉄道は、その名の通り静岡市の新静岡駅と新清水駅を結んでいます。11.0kmの運転区間に両端の駅を入れて15駅ありますから駅間の平均距離は800m弱です。並行するJR東海の東海道線は、静岡清水間に両端を入れてわずかに4駅ですから駅間平均距離は3.7kmほどになります。日中の運転間隔が8分おきだということからも、市内の短距離の行き来をこまめに拾っている鉄道だと言えます。

さて、このダイヤ改正によって、新静岡―新清水間の所要時間が2分延びます。21分が23分になるそうですから、約1割のスピードダウンですから、ダイヤ改悪と言われてしまうかもしれません。なぜ、スピードダウンをするのでしょう。それは、各駅の停車時間を少しずつ延ばすからです。一つの駅の停車時間の延びはわずかですが、始点から終点まで途中に13駅もありますから、塵も積もれば山となるで、2分も延びてしまうのです。

じゃあ、なぜ、停車時間を長くするのかというと、乗客の高齢化が進んだからです。お年寄りのお客さんが増え、てきぱきと乗り降りができなくなり、現在でも遅延が慢性化しているのだそうです。ですから、所要時間を延ばすというよりも、現状に合わせた所要時間にすると言ったほうが適切です。上述のように800m弱に1駅、8分おきの運転ですから、車の運転ができないお年寄りのチョイ乗りが多いのでしょう。

これから、高齢化の影響が各方面で顕在化していくに違いありません。電車の停車時間の延長なんて、かわいいものです。近い将来、想定外の受け入れがたい影響を被らないとも限りません。清水と言えばちびまる子ちゃんですが、友蔵じいさんみたいな人が大勢いる社会を想像してみてください。

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キタチョー線

11月4日(金)

「北朝鮮、ICBM発射か。宮城、山形、新潟の3県にJアラート発出」

金曜日のクラスでは、最近のニュースを新聞の見出し風にまとめて、ディクテーションにしています。これは昨日のニュースですから、少なくとも前半部分は学生たちにとって楽勝だろうと思って読み上げました。予想通り後半の県名や、聞きなれないJアラートなる単語には苦労したようです。

このほかにもう2本読み上げて、ざっと見てできていそうな学生にホワイトボードに答えを書かせました。指名された学生が書いている間、私は教室の一番後ろに立っていました。たまたま私が立ったそばの席だったTさんとCさんが、小さな声で私に聞きました。「先生、“キタチョーセン”って東京ですか、大阪ですか。どこのJRですか」。

どうやら、この2人は北朝鮮を、山手線や丸ノ内線と同類の“キタチョー線”という鉄道線だと思ったようです。ICBMは、“あいしびえむ”とかという駅だと思い、だから、発射は、“キタチョー線”の電車が発車したと受け取ったのです。Jアラートも、JRと聞き取ったので、「どこのJRですか」と私に聞いたに違いありません。

確かに、Tさん、Cさんの国では北朝鮮を“キタチョーセン”とは呼びません。でも、日本では“キタチョーセン”という音は“北朝鮮”以外の何物でもなく、“キタチョー線”だと思う人など、落語の八つぁん、熊さんしかいないでしょう。日本へ来たばかりならまだしも、2人はもう1年以上も日本にいます。学校以外で日本語に接していないんだなあと思いました。

確かめませんでしたけど、“キタチョー線”だと思った学生が2人のほかにもいたかもしれません。こんな調子で、このクラスの学生、来年4月に進学できるのでしょうか。

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てんぷらラーメンを食べに?

10月21日(金)

来週の金曜日は、学校行事で川越へ行きます。西武新宿から西武線で終点の本川越まで行き、そこで学生たちを野に放ちます。でも、当日いきなり「はい、好きなところを見てきて」では、迷子になるか駅付近でスマホいじりに精を出すかでしょう。ちょうど1週間前ですから、クラスの学生をいくつかに分けて、そのグループごとに川越について調べさせることにしました。

川越経験者のTさんは、てんぷらラーメンがおいしかったとのことなので、それをまた食べようとグループのメンバーに提案していました。同じグループのDさんは、評判のコロッケ屋さんをネットで見つけ出し、食べに行きたいと訴えました。どうやら、このグループはグルメツアーになりそうです。

Nさんのところは、喜多院や時の鐘など、王道を歩く雰囲気です。かなり忙しいスケジュールのようですが、こちらはお昼をどうするつもりでしょう。菓子屋横丁あたりで仕入れたお菓子を食べながら歩き回るのでしょうか。それもまた、川越らしさの一つです。

学生たちは、意外に行動範囲が狭いです。自宅と学校と塾の範囲しか知らない学生が多いです。以前観光で来日し、ニセコは知っているけど渋谷は行ったことがないなどという例もあります。川越でてんぷらラーメンを食べたことがあるTさんなどは、貴重な存在です。漠然と「日本文化を知りたい」と言っているだけでは、いつまでたっても日本文化に触れられません。KCPの課外活動は、半強制的に学生を日本文化の中に放り込む意味もあります。これをきっかけに、日本を新しい角度から見てもらいたいと思っています。

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半袖の街から

10月11日(火)

東京は、最近長袖がちょうど過ごしやすい陽気が続いています。昨日も、天気予報では最高気温が29度とか28度とか言っていましたが、日がほとんど差すことなく、結局は22.8度止まりでした。沖縄は、連日30度近くまで気温が上がっているようです。まだ夏なんですね。

新学期が始まったにもかかわらず、Yさんはその沖縄にいます。当初の予定なら、今頃は会社の社長になって、KCPの学生ではなくなっているはずでした。しかし、手続きが遅れて、KCPをやめてしまうと不法滞在になってしまいますから、KCPの学生の身分をキープしている次第です。

ビザを変更するにしても、留学ビザ時代の出席率がかかわってきますから、沖縄になんかいちゃいけないのですが、Yさんにはそういう意識は希薄なようです。欠席したので様子を聞こうと電話した先生に「沖縄にいます」と答えたYさんを、素直でよいとするのか、罪の意識のかけらも感じられないとするのか、意見の分かれるところですが、私は後者のような気がします。

Yさんは国で大学を出ていますから、会社をつくればそれなりのビザを取ることはできます。しかし、会社を設立するにはお金がかかります。そのお金を、Yさんはご両親に出してもらったそうです。それも、個々の家庭の事情ですから、部外者の私がとやかく言うお話ではありません。しかし、そのお金で沖縄へ行って遊んでいるとなると、一言も二言も申し上げたくなります。どんな会社をつくるか知りませんが、今からこんな浪費を繰り返していたら、経営がうまくいくはずなどありません。また、会社設立のためにどうしても休まざるを得ないというのであれば、受験生が入試日に休むのに準じて認めてあげてもいいですが、“沖縄にいます”じゃどうしようもありません。

明日はYさんのクラスに私が入りますが、きっと会えないでしょうね。

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