Category Archives: 社会

雪国?

1月6日(木)

お昼ごろから降り始めた雪は、学校の前の道路を真っ白にしています。外に止めてある車は、ボンネットも窓も屋根もすっかり雪で覆われて、大きな雪玉と化しています。人通りも少なく、たまに歩いている人はおっかなびっくりという感じで足を進めています。

昨シーズンは雪がほとんど降らなかったと思いますから、積雪はかなり久しぶりのはずです。そうすると、交通機関の備えが心配になってきます。すでに道路は通行止めのところが出ているようです。帰宅時間帯の電車はどうなるのでしょう。遠距離通勤のT先生は、無事帰れるでしょうか。

学校の中では、ハイフレックス授業の勉強会が行われました。対面とオンラインと、両方の学生を満足させ、学習意欲を損なうことなく効果的に実力を伸ばしていくにはどうしたらいいのか、みんなで考えました。この両刀づかいは、もはやできて当然、教師の標準装備となっています。

その一方で、職員室には学生の姿も。学期休み中に学校へ来ている学生は、前の学期の成績が振るわなかったとみて間違いありません。進級できないという連絡を受けて、何とかしてもらいたくて足を運んだのでしょう。雪の中、ご苦労様なことですが、その決定が覆ることは、まずないでしょう。

明日の朝は、Sさんの面接練習をすることになっています。天気図を見ると、この雪を降らせている低気圧は今晩中に東の海上に抜けることになっていますが、路面が凍結すると、雪が降りしきる中以上に足元が危なくなります。南国出身のSさん、ちゃんと来られるでしょうか。

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新春のおもてなし

1月4日(火)

元日は、朝2時半ごろに目が覚めました。いつもの起床時刻です。LINEを見ると、KCPの先生方から「あけましておめでとう」が届いていましたから、私も新年のあいさつを送りました。

そして、大晦日のうちに調べておいた、ホテル近くの神社へ初詣に行きました。ホテルのフロントの人に「この辺の人は、初詣はどこへ行くんですか」と聞いたところ、「熱田神宮まで行きますね」という答えでした。熱田神宮は密に決まっていますから、地元の人しか行きそうもないところを探りに出ていたのです。

行ってみると、境内にはたき火がありましたが、参拝者は、0時ちょうどぐらいにはいたのでしょうが、3時ごろだと誰もいませんでした。お参りをすますと、町内会の方と思われる人が、「粗品がありますが、お持ちになりますか」と声をかけてきました。ポテトチップスとお酒だったので、ポテチだけいただいてホテルに戻りました。

朝風呂に入り、朝食をいただいて、チェックアウト。東京へ帰る前に、日中、明治村を見学しました。とにかく広いので、人が少々多くても密になることはありませんでした。ボランティアガイドツアーなるものがあるので、それを利用して村内をめぐりました。

さて、午後1時からのツアーの出発点がわかりません。それらしきところを見て回ったのですが、それらしきガイドさんも客もいませんでした。やむを得ず、売店に入って尋ねたところ、店員さんもわかりませでした。しかし、その店員さんは八方手を尽くして調べてくれて、しかもツアーの集合場所まで連れて行ってくれました。1時が迫ってきたので小走りになると、「お客様は走らなくても結構です。私が先に行って話をしておきます」と言ってくれるではありませんか。とにかく、おかげさまで、ツアーに間に合いました。

名古屋からは東京行き最終のこだまのグリーン席。驚くなかれ、N700Sという最新型の車両ではありませんか。新年早々、なんと縁起のいいことか。ぷらっとこだまという超割引切符のおかげでいい思いをさせてもらいました。腰がふわんと沈み込むようなリクライニングシートを十二分に満喫しました。のぞみなら1時間半ぐらいのところ、2時間40分も最高級シートを堪能できたのですから、すばらしいお年玉でした。

うちに着いたのは、ほぼ0時ぴったり。明治村のお問い合わせページのご意見・ご感想のところに、昼間の店員さんにとても感謝していると書きました。勝手に持ち場を離れて変な年寄りを案内したということで、逆に叱られちゃうのかなあ。でも、あなたのおもてなしの精神は、私がしっかり受け止めましたよ。

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改めて、留学の意義

12月27日(月)

今年最後の出勤日を迎えましたが、2021年は新入生がまともに入国できない1年となってしまいました。オンライン授業に参加してみたものの、あまりの先行きの不透明さに挫折してしまった学生も少なからずいました。私が学生の立場でも、見切りをつけたでしょうね。

そういう学生にとって、2021年はどんな年だったのでしょう。空白の1年と感じているのでしょうか。日本語を勉強しても、その進歩を感じる機会がなく、また、日本での進学が具体化する方向にもなかなか進まず、精神的につらかったに違いありません。無為徒食とすら感じていた学生もいたようです。

私たちはそういう学生たちに何かしてあげられたかというと、非常に限られた範囲でしか手を差し伸べられなかったと思います。学生の気持ちを燃え立たせ、意欲を長続きさせようとあれこれ手を打ってきました。しかし、結果的に見て、それが有効に作用したとは言い難いのが現状です。

総括すると、「日本での留学生活」が見えてこない状況で学生のモチベーションを維持させるのが大変に困難だったということです。留学とは単なる勉強ではなく、今まで慣れ親しんだ環境とはまるっきり違った世界に身を置くことで見えてくる何物かをつかむ点にこそ意義があるのです。

それぐらい、わかっているつもりでした。でも、こういう、留学の基本認識の重みを、身をもって感じさせられたのが2021年でした。来年、私たち教師が、あるいは学校が成長するか否かは、この原点をどこまで深く追求できるかではないかと思っています。

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予定は?

12月25日(土)

机の上に置く、予定を書き込むカレンダーを新しくしました。早速、1月12日の1月期始業から、予定を書き込みました。おととしもこうして予定を書き込んだものの、その予定が木っ端微塵に打ち砕かれました。昨年末書き込んだ予定は概ね実施されましたが、思い描いたものとは違った形になったものもかなりありました。

11月のEJUの成績が、受験した学生たちからぼつぼつ届いています。今年は学生の絶対数が少なかったので出願者数も受験者数も当然少なくなりました。事務所の窓際には、渡されることのなかった受験票の入った水色の封筒が置かれています。日本で受験できると信じて出願したのに来日が叶わず、欠席者扱いになってしまった学生たちの怨念がこもっているような気すらします。おろそかには扱えません。

そういう学生が全国の日本語学校に大勢いたのでしょう、11月のEJUの欠席率は4割に迫る、半端な数ではありませんでした。オミクロン株の市中感染が始まりかけているという現状では、留学生の入国は当分見込めそうにありません。この欠席者のみなさんは、来年6月のEJUを受けるのでしょうか。それとも、もう待ちきれないと日本留学をあきらめてしまうのでしょうか。

そう考えると、こういった学生たちのカレンダーはまだ真っ白かもしれません。何をどう書き込んだらいいのか見当がつかないでしょう。希望的観測だけでは、予定とは言えません。でも、悲観的な年間計画では、心が折れてしまいます。春秋に富む学生たちは、その前途が洋々としているからこそ、悩みも深いのです。

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寂しいオリエンテーション

12月21日(火)

学期末が近づくと、次の学期の準備をし始めます。特に10月期は学期後にお正月休みが挟まりますから、早め早めに動くことが必要です。今学期も、すでに先週から教材の印刷が始まっています。

私の今朝一番の仕事は、来学期の各レベルの学生数を予測し、市販の教科書の必要冊数を算出し、それを発注することでした。年内に納めていただけるそうで、一安心です。

また、昨日から、来学期から新たに受験講座を受ける学生へのオリエンテーションをしています。いろいろな条件の学生がいる関係上、何回かに分けて実施しています。おととしまでは、毎回教室の机がさらっと埋まるくらいの学生が集まったものですが、今学期はzoomの画面にぽつぽつという程度です。

先学期の説明の頃は新規患者数がどんどん減りつつある時期でしたから、このままいけばという希望も抱いていました。しかし、今は、患者の絶対数は3か月前よりずっと少ないですが、東京なんかは底を打ったような打たないような、不気味な挙動を示しています。外国人の新規入国に関しても見通しが利かないままです。そんなこんなで、先学期より重苦しい雰囲気の中でのオリエンテーションでした。

緊急事態宣言が解除されて入国規制が緩和された時期に入国できた留学生は、わずかに3人だったそうです。KCPでも、首を長くして待っていた学生たちが結局入国できませんでした。入国規制を決めた岸田内閣は支持を集めているようですから、この状況はまだまだ続くことでしょう。オリエンテーションを受けた学生たちと対面できるのは、いつのことやら…。

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本能を抑える

12月15日(水)

12月になると、今年を振り返ってという授業がちょくちょくあります。そんな中、先日、今年の新語・流行語大賞のTOP10に入賞した「黙食」について学生に聞いてみました。「みんな、黙食してる?」と問いかけると、教室の学生ほぼ全員が首を横に振りました。「いろいろな規制がかかっているけれども、これだけは守れない」という学生もいました。

中上級の学生たちにとって、授業の後のお昼ご飯の時間は、情報交換をしたり、励まし合ったり、愚痴を言い合ったり、そんなまとまった話ではなくてもおしゃべりすることで友人との絆を確かめる機会なのです。黙食とは、それが全くできないことを意味します。

学生たちは、物心ついた時からスマホに親しんできた世代です。新語・流行語大賞の言葉で言えば「Z世代」そのものです。その学生たちにとっても、食事しながらの面と向かってのおしゃべりは、SNSでのやり取りに勝るのです。こういうおしゃべりは、人間の本能に根差しているのかもしれません。

だから、第5波のさなかの夏に、飲食店が閉まっても公園で盛り上がっている人たちが大勢いたのです。本能を抑えろと言われても、たやすくできることではありません。また、人間は群れることでここまで繁栄したと言えます。それゆえ、密になるなという指示も、生存のよりどころが否定されるわけですから、なかなか守れるものではありません。

さて、学生たち、TOP10の「親ガチャ」については、自分たちは「あたり」を引いたという意識があるようでした。海外留学させてもらってるんですから、感謝しなくちゃ。

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マイナスの広告

12月10日(金)

だいぶ前にこの稿で取り上げたO先生が沖縄にいた時に働いていたホテルについて、学校のパソコンで調べたら、その直後から、そのホテルの広告が、ネットで何かするたびに出てくるようになりました。天気予報を見ても、辞書を使っても、感染状況を調べても、化学反応の検索をしても、何をしてもまとわりついてくるのです。

そのホテルは、1泊で私が旅行で泊まるホテルの4泊か5泊分のお金がかかります。でも、サイトを見る限り、その宿泊料に見合う高級さが漂っていました。来年、ほかの旅行は我慢して、このホテルに泊まるためだけに沖縄まで行ってもいいかなとさえ思いました。ホテル付近の見所や、おいしい食べ物などを調べてみたりもしました。

しかし、広告をしつこく浴びせかけられ、そういう気持ちは全く失せてしまいました。私が見ようとする画面ごとに出現するのですから、鬱陶しいこと、邪魔くさいこと、この上ありませんでした。DMならゴミ箱か古紙回収箱直行で後腐れありませんが、ネットの広告は来る日も来る日も追いかけ回されるのでたちが悪いです。

私はネットの広告が直接の動機となって消費活動に向かったことはありません。上述のように、ネットで調べた結果、興味を掻き立てられ、それに対してお金を使ったことは何回もあります。これをお読みのみなさんは、ネット上でストーカー並みに付きまとわれても、その商品やサービスを購入するのでしょうか。

このホテルの広告が、最近、ようやく止まりました。それに代わってどこかの広告が入っているはずなのですが、何社かに分散しているからなのか、印象に残りません。だから、やっぱり、何も買いません。要するに、私はドケチだということなのでしょう。

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不安

12月3日(金)

朝は職員室に誰もいないので、静かな環境で仕事ができます。電話もかかって来ず、学生に呼び出されることも、他の先生から仕事を言いつかることもありません。集中力を要する仕事を中心に、細切れにしたくない仕事はこの時間に持って来ます。

今朝もそうやって仕事に取り組んでいたら、カタカタカタと小さな音がして、ビルがわずかに揺れました。時計を見ると6時38分でした。大きいのが来るかなと身構えていましたが、そのまま何事もなく終わってしまいました。揺れが大きかったら校舎内を点検に回るところですが、そうするまでもないと思い、仕事を続けました。

8時を過ぎて続々と先生方がいらっしゃいました。一部の線では電車が止まったり徐行運転をしたりしたそうです。結構大きかったんだと思いネットで確認すると、6時37分に山梨県で震度5弱というではありませんか。新宿区でも震度2だったと報じられていました。震度1かなと思っていました。やっぱり、このビルは揺れにくいんですね。最新の耐震基準で造られただけのことはあります。

お昼過ぎにネットを見ていたら、9時28分に和歌山県でやはり震度5弱の地震があったそうです。こちらは東京まで響いてきませんでしたが、1日に2回、震度5クラスの地震というと、オヤッという気もします。今週たびたびこの稿に登場しているHさんは、入試がうまくいかずに気弱になっているところへ、国ではほとんど経験したことのない地震が追い討ちをかけた形になり、学校を休んでしまいました。不安でたまらないようです。

ほんに数年前まではルームメートがいるのが普通でしたが、昨今は完全な独り暮らしが当たり前になってきました。独り暮らしにはメリットもたくさんありますが、精神的に参っている時の心細さはいかばかりでしょう。Hさんの性格も考えると、合格発表の7日までは、そっとしておいてあげるのが、一番よさそうです。

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縁がなかったのに

12月2日(木)

理科系の世界では、ギリシア文字がよく使われます。α線、β線、γ線は放射線としてつとに有名ですし、α、β、γは数学の公式にもよく出てきます。Δは微小変化を表し、δ+といえば、電気的にわずかにプラスという意味です。εは誘電率の記号で、θは角度、λは波長、ωは1の3乗根、ρは密度、χといえばχ2乗分布、円周率πもギリシア文字です。φは何もないという意味で使われることもあります。今回順番を飛ばされたνは光の振動数です。しかし、オミクロンはお世話になっていませんね。

日本国中がオミクロン株に右往左往しています。日本語学校はその最たるものかもしれません。年末に入国できそうだということで受け入れ準備を始めた矢先に、再度扉が閉ざされてしまいました。第1陣で来日する手はずになっていたYさんの喜びも、ほんの束の間のことでした。気丈に授業を受けていますが、その心中は、推し量るに余りあるものがあります。Kさんがzoomの画面の中で、両手の指を2本ずつ立てて22日に来日だと嬉しそうにしていたのを思い出すと、大いに心が痛みます。

大学や専門学校の方がいらっしゃっても、景気のいい話にはなりません。入管の特例を利用して、本来なら来年3月で卒業の学生が、もう1年KCPで勉強を続けると言い始める例も少なくありません。だから何人ぐらいが実際に卒業するのか、そのうち専門学校に進学しそうな学生が何人かなどということがいまだによく見えません。それゆえ、「いい学生さんがいらっしゃいましたら…」などと言われても、返事のしようがありません。

このように、入国禁止令は本当に困ったことです。しかし、もし、私がこういう仕事をしていなかったら、「岸田さん、よくぞ水際対策を打ってくれた」などと、感心しているかもしれません。苦痛は当事者にしかわからないものです。いろいろなマスコミが入国できないでいる日本留学予定者の苦衷を伝えていますが、関心を持ってもらうには至っていないようです。

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来訪者

11月26日(金)

専門学校の方が2人お見えになりました。11月も末となると、学生募集のはかどり具合が心配なようです。こちらも、「どんどん学生を送りますよ」と申し上げたいところですが、そもそも進学予定の学生がいません。先様のお話はお聞きしますが、景気のいい返事はできません。

肝心の学生たちはどうかと言えば、動きの活発な学生とそうでもない学生と、差がついています。大学院を中心にすでに合格を決めた学生がいる一方で、「進学」と言っているだけで何もしていないに等しい学生もいます。原因の1つは、入管の特例措置です。来年3月で日本語学校在籍期間が2年になる学生のうち、少なからぬ数の学生が、所定の時期から大幅に遅れて入国したため日本語能力が十分に伸ばせないうちに卒業期を迎えてしまいます。期間満了としてそのまま卒業させたら日本語力が足りないまま高等教育機関に放り出すことになります。これでは、学生自身にも、一緒に勉強する日本人学生にも悪影響が生じかねません。ですから、日本語学習に集中できる期間を1年延ばしてもいいことにしようと考えたようです。

それはありがたいのですが、学生の中には志望校に落ちたらもう1年KCPで勉強しようと考えている人もいます。また、一刻も早く出たいと思っている人もいます。これから、そのあたりの駆け引きが強まるんじゃないでしょうか。そうなると、進路指導も一筋縄ではいきません。

もうすぐ入学試験という学生もいます。Zさんもその1人で、あさって、オンライン面接が待ち受けています。授業後、最終の面接練習をオンラインでしました。本人は心配でならないらしく、自分の持っているスーツの布の材質があまりよくないのだが、今から買い直す必要があるだろうかなんていうことまで聞かれました。Zさんには、延長などということなく進学してほしいです。

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