Category Archives: 社会

ひたひたと

2月3日(木)

学校に通っているお子さんをお持ちの先生方が、その学校が休校になったためお子さんの世話をしなければならず、KCPに出勤できなくなったという例が出てきました。その他、数日前に陽性判明者と一緒に食事したとか、濃厚接触者に濃厚接触したとか、家族が陽性になったけど自分はずっと陰性だとか、昨年の第5波までには見られなかったケースが出てきました。この第6波は新規感染数が桁違いに多く、今までのように安泰ではいられなくなったようです。

自宅からオンライン授業といっても、私のうちはそういう対応になっていません。そもそも、授業データが学校のコンピューターに格納されており、簡単にはアクセスできません。授業以外の仕事も、学生の個人情報や部外秘のデータなど、外に持ち出したくないものを扱うことが多いので、気安く在宅勤務というわけにはいきません。何より、私は家に仕事を持ち込みたくない人間ですからね。

今まで通り、人ごみは避ける、むやみにマスクを外さない、余計なものにさわらない、手洗い励行、体力温存など、予防を心がけるだけです。私の周りの先生方も、私とやり方は違いますが、各方面に注意を払って生活なさっている様子がうかがえます。みんな、変なものを拾わないように、必死なんですよね。

そんな中、明日から北京オリンピックです。去年の東京オリンピックも興味が持てませんでしたが、今回はそれに輪をかけて関心がありません。競技の中継でブラタモリがお休みになり、邪魔くさいなあと思う程度でしょうか。11月に始まるワールドカップは、心おきなく日本代表を応援できるといいですね。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

おおみそか

1月31日(月)

早いもので、1月も末日になってしまいました。この調子で行ったら、あっという間に1つ年を取り、年末を迎えるのでしょう。

今年は1月末日が旧暦の大晦日です。そして、明日が旧正月です。KCPには旧正月を祝うところから来ている学生が多いですから、私も先日お祝いの動画を撮りました。その動画、もう見られるようになっているのかなあ。旧正月を祝う勢力の次に強いのは、お正月よりクリスマスというグループです。新暦の正月に騒ぐのは、結局教職員だけかもしれません。

朝、Cさんから電話が掛かってきました。「明日、お正月ですから、休みたいです」ときました。対面だとにらみを利かせてそんなことは思わせもしませんが、オンラインだと甘くなりがちです。ちゃんと電話連絡してきただけ立派なのかもしれません。大晦日のうちから浮かれて、下手をすると今週いっぱい、何もしない学生もいるかもしれません。受験生でそんな学生はいないと信じたいですが。

でも、国の自宅でオンライン授業を受けている学生たちは辛いでしょうね。自分以外の家族はみんなお正月気分なのに、1人だけテストを受けたり大きな声で本を読んだり漢字の練習をしたり、その他さまざまなことをさせられるのです。日本に入国できる見込みは希望的観測だけ、志望校の受験は秋以降とはいえ、不安や心配がないわけがありません。

日本にいる学生だって、家族や友人に会えない期間がかなり長期に及んでいます。お正月ぐらい羽を伸ばさせてあげたいです。しかし、他人がしていないときに努力をして初めて差が付くのです。今が苦しいのは万人に共通です。そして、Cさん、あなた、最近出席率が落ちていますね。気が緩んでいますよ。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

期待の新人

1月29日(土)

先日、スウィートスプリングという柑橘類の一種をスーパーで発見しました。八朔と温州みかんをかけ合わせてつくったと説明板に書いてありました。確かに、小ぶりの八朔、3Lぐらいの温州みかんという大きさでした。八朔も温州みかんも好物ですし、値段も手ごろでしたから、5個入り1袋を買いました。

皮は、けっこう硬くて八朔よりも厚く、むいてしまうと中身はずいぶん小さくなってしまいました。肝心のお味は、残念ながら期待外れでした。八朔や温州みかんよりも濃厚な感じがしましたが、いよかんに近い味がしました。八朔のようなすっきりした酸っぱさを想像していましたが、私にとっては甘い方向に偏った味でした。果汁はたっぷり過ぎるくらいあって、口の周りもテーブルも、汁だらけになってしまいました。強力な甘さからすると、こぼした汁を拭かないでおいたら後でべとべとになりそうな気がしました。

私は一袋ずつばらして食べたのですが、ネットで調べてみたら、ナイフで8つぐらいに切って(割って)食べるのだそうです。ジャムにしてもおいしいと出ていました。あの甘さならきっとそうでしょうね。

そして、気になったのが“幻の”という修飾語です。栽培面積が少なく、市場にはほとんど出回っていないそうです。私が見つけたのは、本当に偶然だったようです。確かに、その後、どこへ行っても見かけることはありません。

だから希少価値は高いのでしょうが、私の口には合いませんでした。どちらかというと、八朔寄りの味にしておいていただけるとよかったのですが…。

聞き慣れぬ名前の、見慣れぬ新しい種類の柑橘類が増えたと思います。私は八朔・甘夏系を愛してやまないのですが、こちらは出回る数が少なくなる一方のようです。今シーズンは、昨シーズンに比べて、甘夏の値段が倍ぐらいしているような気がします。なかなか手が出せなくて、口が寂しい限りです。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

帰りたい

1月28日(金)

午後、仕事をしていたら、Pさんに呼ばれました。Pさんとは来週の月曜日に面接練習をすることになっていたはずです。日付を間違えたかなと思いながら受付のカウンターまで行くと、相談したいことがあると言います。職員室の中に招き入れ、じっくり話を聞きました。

PさんはT大学に出願しました。来週末に面接試験がありますから、そのための練習をすることになっていたのです。しかし、書類審査で落とされ、面接練習は必要なくなったと申し出てきました。Pさんが出願した学科は、毎年T大学の中で1番か2番の競争率になりますから、EJUがあまりよくなかったPさんには不利かなと思っていましたが、残念な結果になりました。

私の予定が消えるだけなら話は簡単なのですが、Pさんはもう1年KCPで勉強して、来年再挑戦したいと言います。出願した時は、T大学に落ちたら帰国すると言っていましたが、門前払いを食らったとなると、悔しかったのでしょう。これもまた、Pさんは出席率良好ですから、手続きをすれば認められるはずです。

問題は、一時帰国したいという希望です。来日以来1年以上家族とも友人とも会っていないので、ぜひとも帰りたいのだそうです。落ちたら帰国という当初の予定も、ホームシックがあったからかもしれません。しかし、現時点では下手に帰国すると不利な扱いを受けかねません。今後の状況によっては、国と日本で隔離されるために一時帰国したみたいなことになりかねません。最悪の場合、日本に戻れなくなるおそれすら皆無ではありません。T大学への進学をあきらめざるを得なくなることだって考えられます。

とはいえ、Pさんの精神状況を見ると、一時帰国させてあげたくもあります。結論先延ばしはあまりよろしくないのですが、書類審査落ちのショックが和らげば、少しは考えが変わるかもしれません。来週、また、話を聞くことにしました。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

 

抜本的改革

1月27日(木)

共通テスト試験問題流出事件は、19歳の女子大学生が、自分がやったと警察に出頭してきたそうです。去年、第一志望ではない大学に不本意ながら進学し、仮面浪人して今年再挑戦のつもりだったのでしょう。成績が伸びなかったので魔が差したと語っているそうですから、焦ってもいたのに違いありません。ほとんどの科目が難しくなって平均点も下がったのですから、結果的にはそこまで焦らなくてもよかったのにね。

不正行為の防ぎようがなかったら現状の入試形式を見直さなければならないと言っていた大学の先生がいました。日本の大学は入りにくいけれども入ってしまったら卒業は楽だと言われています。有名大学に入ってしまえばその大学の卒業証書を手にしたのも同然ですから、こういう勝負に出ようともするのです。来る者拒まずだけど出る者厳選とすれば、受験生は妙な無理をしなくなるのではないでしょうか。また、たった1度のミスが人生を左右することもなくなると思います。

大学が入りやすく出にくくなれば、受験生は自分に合った大学をより真剣に選ぶようになるのではないでしょうか。大学側も、受験生に選ばれるために、より一層教育内容に磨きをかけ、日本の大学全体のレベルが向上すると思います。留学生も、日本の大学を見る目を変えることでしょう。

電子機器は日進月歩です。早晩、共通テストやEJUのような方式では、公平な試験が担保できなくなるでしょう。共通テストは始まったばかりと言っても、基本は共通一次試験と変わりありません。共通一次って、私が第一期生ですよ。もういい加減抜本的な改革を行っても、全然おかしくはありません。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

そうまでして

1月26日(水)

大学入学共通テストでカンニングが行われたようです。問題を写真に撮って家庭教師紹介サイトを通じて知り合った東大生に送ったと言います。その東大生は採用試験みたいなものだと思って、その問題を解いて送り返しました。何も知らないうちにカンニングの手伝いをさせられたわけです。これが事実だとしたら、その東大生にとってはとんだ災難というほかありません。

これが明るみに出たのは、当日の試験監督官による摘発ではなく、当の東大生の申し出からです。試験監督官は気が付かなかったのでしょうか。写真撮影、メール送信、そして返信の受信となれば、まさかコナンみたいな装備はしていないでしょうから、怪しげなしぐさが数回あったはずです。それをすべて見逃してこのような事態の発生を許したとなると、当然ほかにも同様の不正行為があったのではないかと疑わしくなります。

問題を外部に流出させた受験生がどんな人かはわかりません。偽計業務妨害罪で捕まったとしても、そのプロフィールが公になることはないでしょう。でも、どんな気持ちでこのような行為に及んだかは知りたいです。イチかバチかの勝負だったのでしょうか。ゲーム感覚のお遊びだったのでしょうか。追い詰められて精神に異常をきたしていたのでしょうか。

この稿でも何回か取り上げていますが、EJUでも、試験のたびに、カンニングの噂がささやかれます。やらなきゃ損と思っている受験生もいるとか。“いい大学”に入りたい気持ちはわかりますが、そんな無理をして入った大学で自分のためになる勉強ができるのでしょうか。日本人受験生にしても留学生にしても、先の長い人生なのですから、若いからこそ、ロングスパンで物事を考えてほしいなあ。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

聞き違い?

1月25日(火)

日曜日の天気予報で、東京の気温が1年でいちばん低くなるのは1月25日だと言っていたので、気象庁のデータで調べてみました。すると、日平均気温も最低気温も最高気温も、1月21・22日が底でした。20日が大寒でしたから、実に暦通りです。25日は、わずかに0.1度ですが、平均と最高はどん底より高くなっていました。すると、私は何をどう聞き間違えたのでしょうか。それはさておき、もうすでに春に向けて歩み始めているんだと思うと、なんだか気分も明るくなります。

今朝、うちを出る時に、きれいな下弦の月が上空にかかっていました。旧正月は2月1日、ちょうど1週間後です。KCPは今週から全面オンラインに移行しましたから、旧暦で新年を祝う国の学生たちが、教師の目が届かないのをいいことに羽目を外すのではないかと心配しています。クラスターでも発生しようものなら、春もへったくれもありません。これから受験する学生はそんなへまはしないでしょうが、合格して左うちわの学生からは目が離せません。学生たちは孤食をあまり好みませんから、かなり引き締めていく必要があります。学生も教職員も一丸となって事に当たらなければなりません。

春というと明るいイメージがあり、物事が好転しそうな気がしますが、実質が伴っていなければどうにもなりません。おととしは初の緊急事態宣言が出たのが4月7日でした。去年も連休の直前に緊急事態宣言でした。3年連続同じパターンに陥りたくはないものです。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

%の争い

1月18日(火)

今学期は、大部分の学生が3月で卒業していきます。進路が決まっている学生はそのまま4月から進学先に通えばいいのですが、現時点では未定の学生も少なくありません。その中の一部の学生は、入管が打ち出した特例により、4月以降もKCPで勉強します。入国が大幅に遅れたために計画通りの日本語学習ができなかった留学生への救済措置です。これにより、日本語学校の在籍期間が2年を超えても勉強が続けられるようになりました。

しかし、この救済措置は誰でも受けられるわけではありません。出席率が低かったら、進学先が決まらなかったのは、日本語力が足りなかったからではなく、日本語習得に対する熱心さが足りなかったからでしょとされてしまいます。日本語学校の世界は出席率がすべてを取り仕切っていますから、当然のことです。

午後、Qさんが職員室で先生方と話していたのはその件です。これから受験する大学もありますが、本人的にはもう1年勉強して“いい大学”に進もうと思っているようです。しかし、お手軽に休んだツケが回ってきました。救済してもらえないおそれもある数字になっていました。

国費留学生87名の入国が認められるそうです。日本に入国できないまま卒業修了の時期が迫ってきた留学生たちが対象です。私費留学生、それも日本語学校への留学生の入国が認められるのはいつのことでしょう。そういう人たちのことを考えたら、Qさんは今日本にいるのですから、とても恵まれています。その好条件をみすみす逃しちゃうのかなあ。そういう危機的状況だということがわかっているのでしょうか。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

EJU実施要項

1月17日(月)

EJUの実施要項が届きました。今年は6月19日と11月13日です。これは予定通りと言えましょう。その他の日程も受験料なども特段の変更はありません。いつもと同じかと思ったら、同封の書面には「2022年度より、団体申し込みをした受験生の成績を、受験者本人だけでなく、団体担当者も見られるようにいたします」と書かれていました。

JLPTではだいぶ前からこれができました。学校で団体申し込みすると、出願した学生の成績がコンピューター上で見られますから、学校としてのデータもまとめやすいですし、個々の学生の指導にも持って行きやすいです。しかし、EJUはそうなっておらず、進学指導の資料として使おうにも、学生からいちいち成績を聞き出さなければなりません。以前は成績通知書が学校に送られてきましたから、それを渡す時に学生に成績を申告させることができました。しかし、最近は成績通知書が廃止になったので、学生の成績を知るのが難しくなりました。

それなのに、EJUの成績は、日本語学校の学生管理の一環として、入管への報告事項の1つとなっています。これではどうしようもないですから、学校側で学生のEJUの成績が把握できるようにしてほしいと要望し続けてきましたが、やっとそれが実現しました。

そういったうれしいニュースの数行下に、「悪質なカンニングに対し、本機構では引き続き厳正に対応してまいります」と書いてありました。こういうことを書かなければならないほど、EJUでカンニングが横行しているという噂は毎回ささやかれています。昨日までの共通テストでは、スマホを股に挟んでいた受験生が摘発されたそうです。しかし、11月のEJUでは、問題を塾に送って解いてもらってそれをマークしたなどの不正行為がスルー状態だったと学生が言っていました。

このままの半鎖国状態が続けば、EJUの受験生は昨年よりさらに減りそうです。その少ない受験生に公正な試験を実施し、努力した受験生が報われる試験にしてもらいたいです。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

みんな、知らないの?

1月11日(火)

午後、Aさんの修了式がありました。Aさんはアルファベットの国から来た学生です。1年前に来日し、昨年12月に予定していたKCPのプログラムが終了しました。他の学生とは違うコースなので、3月の卒業式などとは別に修了式を行いました。

Aさんは日本で就職しました。英語ができることは就活において武器になりましたが、日本語でのコミュニケーションが全く支障なくできることもまた、大きな決め手となりました。KCPの上級まで勉強したのですから、当然と言えば当然なのですが…。

昨年4月に就職したPさんも、同じように日本語のコミュニケーションがよくできました。あっという間に職場に溶け込み、みんなに愛される存在になっているようです。どこの国のどんな職場でもそうでしょうが、やはり心を通わせ合うことが、そこに根付く第一歩なのです。

Aさんが在学中に一番つらかったことはオンライン授業だったそうです。授業の時は、画面を通じてクラスのみんなと会えるけれども、授業が終わったらあっという間に一人ぼっちになってしまうのが寂しかったと言っていました。通学授業では、授業後に友達とおしゃべりをし、一緒に食事に行っていたAさんならではの悩みです。

また、Aさんは、世界の人が自分の国をいかに知らないかを知らされたとも言っていました。日本も、かつては「フジヤマ、ゲイシャ」でしたが、今もそれに「ゲンパツ」が加わったくらいでしょうか。でも、Aさんは、そういう事実を、世界が広がったと前向きにとらえていました。

午前中、専門学校の方がいらっしゃって、卒業生の状況を教えてくださいました。日本での就職が成功したという学生は、KCP時代からコミュニケーション力に富んでいて、前向きな性格でした。もちろん、専門学校での成績も優秀です。

明日から新学期です。在校生をこういう方向に引っ張っていきたいです。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ