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KCP校長ブログ

  KCP地球市民日本語学校校長・金原宏のブログです。

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12月18日(木)
 TさんとOさんの面接練習をしました。2人とも年明け早々に本番の試験を迎えます。今のうちに改善すべき点を指示しておけば、学期休み中に軌道修正できるでしょう。
 2人とも優秀な学生なのですが、回答が無難すぎて面白みに欠けました。突っ込まれないようにという意識が強く、安全運転に走っている様子がうかがえました。終わってから話を聞いてみると、やっぱりそういう気持ちを抱えていたと言っていました。
 突っ込まれないようにというのは、自信のなさの現れです。面接官にそれを悟られたら、かえって意地悪な質問を呼び込みかねません。大学教授なんて、多かれ少なかれひねくれ者ですからね。他人とは一味違うひねくれたところがないと、研究業績は残せません。そんなひねくれ者は、制限速度遵守の安全運転の車を見つけたら、後ろから煽り立てることでしょう。
 受験生の数が多ければ多いほど、何らかの形で他の受験生との差別化を図らねばなりません。無難な回答は、他の受験生でもできる回答です。大学案内に載っているその大学の理念やら特色やらをそのまま言ったって、何の意味もありません。それを自分なりに咀嚼し、私はそれをこう解釈し、その精神にのっとりこんなキャンパスライフを送りたい、というところまで踏み込んで初めて、その人の特徴がにじみ出るものです。その解釈が突っ込まれたら、面接官は自分に対して興味を持っていると、むしろ喜ばなければなりません。虎穴に入らずんば虎子を得ずです。
 2人にはそういう意味のことをフィードバックしました。月曜日の期末テストが終わったら、そういう方向に軌道修正してくれることでしょう。

  • 2014年12月18日(木)22時33分

お正月の皮算用

12月17日(水)
 昨日も今日も気温が10度に届かぬ真冬並の寒さが続いています。東京は気温が低くて多少風が強かっただけですが、北日本では吹雪となっているところもあります。西日本各地も真冬以上の寒さに見舞われたり雪がちらついたりしているところがあるとのことです。
 来週末に仕事納めをすませたらすぐ出かける予定を立てていますから、この寒波はあんまり長居してもらいたくないです。名古屋あたりで雪に降られたんじゃ何のための休みかわかりませんからね。予報によると今週末まではふだん雪が降らないところでも雪のおそれがありますが、それ以後は雪の範囲は日本海側が中心になるそうです。名古屋から北陸に足を伸ばそうかとも考えていましたが、それはやめといたほうが無難なようです。
 お正月休みの皮算用をする前に、今日届いたEJUの結果に基づいて学生の進路指導をしていかなければなりません。どこかしらでしくじって、期待したほどに点数が伸ばせなかった学生が多いようです。Yさんもそんな1人で、もうすぐ試験のS大学のほかに、自分の持ち点で狙えそうな国立はないかということで、S大学の面接練習をした後でしばらく相談に乗りました。Dさんも、今日面接練習した大学以外にどこかないかと相談してきました。結果を見て多少不安になったのでしょうか。
 YさんもDさんも、みんな自分の人生がかかっていますから真剣です。雪が降ったくらいでびくついている私なんかよりはるかに胆力があります。2人には、たとえ雪中行軍になろうとも、絶対ゴールにたどり着くんだという信念みたいなものを感じました。その信念で、最後の一山を乗り切ってもらいたいです。

  • 2014年12月17日(水)23時06分

直したい?

12月16日(火)
 来週の月曜日が期末テストですから、今週が授業の最終週です。選択授業の身近な科学も今日が最終回でした。下地になる材料があったとはいえ、毎週それをパワポ向けに改造し続け、よくぞまあここまでたどり着いたものです。自分自身で感心してしまいます。
 火曜日に身近な科学が終わると、すぐ次の週の資料作りにかかるというのが今学期のパターンでした。前回(今年の1月期)に作ったレジュメをもとに、新たに調べたことも付け加えて、スライドを作っていきました。科学のお話ですから、調べること自体は苦になりませんでした。むしろ、興味の赴くままにネットのページを見たり、受験講座の参考資料として買った高校の理科の教科書を読みふけったりしているうちに時間がどんどん過ぎてしまい、気がついてはっとすることもよくありました。
 ほかに相談する人もいないので上のような仕事は完全に個人作業ですが、私は別に孤独だとか寂しいとかは感じません。のめりこむ仕事を持っている自分は幸せ者だとすら感じます。確かに帰宅は遅くなるし、疲れはたまるし、ろくなことはないのですが、仕事を楽しんでいる自分がそこにいました。
 肝心の仕事のできはどうだったかというと、授業をしてみると手直ししたいところが見えてきます。私は完璧主義者じゃありませんが、こうすればよくなるとわかっていながら放置できるほど度胸はよくありません。今回の資料を次に使おうとするときにも、やっぱりまた時間をかけちゃうんでしょうね。これは病気かな。

  • 2014年12月16日(火)19時07分

先端技術を伝える

12月15日(月)
 私のクラスの読解は、「iPS細胞」。この文章は何年か前に私が書いたものですが、今までなかなかこの文章の授業に当たりませんでした。今回も、期末タスクの関係で授業が遅れていたから回ってきたというもので、本来だったらおしまいのほうをちょこっとだけだったのです。
中級の学習者にiPS細胞の真髄を伝えるには、難しい専門用語の使用はできるだけ避けなければなりません。それでも、この技術の核をなす「分化」ぐらいは使わざるを得ません。また、見慣れぬ単語を全く使わないんじゃ学習者の進歩につながりません。そういうわけで、「分化」は易しい言葉できちんと説明をし、他は専門語さえ辞書で調べれば理解できる文章構成にしました。
 実際に授業をしてみると、どうやらその点は学生たちにわかってもらえたようで、専門語の意味を確認したら文章全体で言わんとしていることは理解できたようです。「山中先生はノーベル賞を取りましたよね」なんていう質問も出てきました。
 私としては、この文章を書いたときに削った内容も少しは伝えたいところです。そんなことを脱線し過ぎない程度に織り交ぜて、文章の内容理解を深めていきました。書いたときのことを思い出しながら、こんな話題を取り上げたら印象付けられるかなっていう話を取り上げました。
 こういう理科系的テーマについてもっともっと書きたいです。しかし、iPSのときも数百字の文章を書くのに、本やインターネットなどでかなりの量の文章を読み込みました。日本語の授業と受験講座の片手間にできることではありません。iPSのときは、中級の読解の教科書をどうにかするという強力なドライビングフォースがあったればこそでした。でも、来年はもう1本ぐらいは書いてみたいものです。

  • 2014年12月15日(月)19時03分

上澄みの争い

12月13日(土)
 昨日やった上級クラスの文法テストの採点をしました。選択肢の問題と短文を書く問題がありましたが、やっぱり短文を書く問題で差がつきました。
 授業で取り上げた文法項目よりも、先学期までに勉強しているはずの内容で差が生じています。できる学生は今までに習ってきた文法も踏まえて、新しく覚えた文法を応用して文を作ります。できない学生は新しく覚えた文法項目にばかり目が行ってしまい、その土台となる部分が疎かになってしまうのです。
 上級で後者のようなミスを繰り返す学生は、残念ですがもういっぱいいっぱいなのだと思います。もしかすると、自分の限界以上のことを授業で聞かされているのかもしれません。1つ下のレベルまでの文法をしっかり固めて、それを確実に使っていくことを考えたほうが、本当はいいのです。
Jさんなんかも、そんな学生です。いつもまじめに授業を聞いています。勉強をサボっているとは思えません。でも、力が伸びません。本人も、そういう自分をもどかしく思っているのかもしれません。
 Jさんのような学生を見ているのが、一番辛いです。「あなたはもう限界です」などと引導を渡す勇気は私にはありません。しかし、痛々しいまでの努力に報いるすべもありません。本当にJさんのためを思ったら、きちんと伝えてあげるべきなのでしょう。そのときは傷つくかもしれませんが、真実を知れば自分の人生を立て直すことだって容易でしょう。
 でも、Jさんにしたって、上級まで来ているのです。人類71億人あまりの中で、日本人1億人の次ぐらいに日本語が上手なのです。山のてっぺん付近でちょっと上だとか下だとか言っているだけなのです。だから、自信を持ってもらいたいです。
 Jさんの手にテストが返されるのは、今週の水曜日。やっぱり、ひたむきに努力を続けるJさんの姿が見たいです。

  • 2014年12月13日(土)19時37分

先輩に続け

12月12日(金)
 Cさんはある地方大学を受けます。母国の首都に生まれ育ち、日本でも最大の都市・東京に住んでいます。つまり、生まれてこのかた田舎に住んだことがないのです。そういう都会っ子が敢えて地方大学を目指す、しかも留学してまでもとなると、それ相応の理由が必要です。
 まず、そこが好きになってもらわなければなりません。そのためにはその土地について深く知る必要があります。歴史的背景をはじめ、どんな産業が栄えているか、何に力を入れているか、母国とのつながりもわかればなお一層強力です。ここは、Cさんはかなり考えているようです。
また、地方の大学はその地方の特色を生かした、その地域に根ざした学問や研究をしていることがよくあります。そういった学問や研究を通して何を学ぶのか、学んだことを将来どう応用していくのかということが自分の言葉で語れれば、高く評価されるでしょう。
 私は学生に地方の大学どんどん行ってもらいたいと思っています。これからの学生の人生において、「大学の名前」が必要なら、がんばって東京の有名校に入らなければならないでしょう。しかし、より充実した学生生活を送るとか、就職するとか、母国と日本の架け橋になるとか、そういう立場で進学先を選ぶなら、むしろ地方大学のほうが有利なことだってあります。地方大学へ行くことは、都落ちなどではなく独立自尊の第一歩なのです。
 今年4月にある地方の国立大学に入ったOさんは、完全にそういうレベルにまで到達していました。入学後も大学の先生方から高く評価され、つい先日、その大学の先生がお見えになって報告してくださったほどです。Cさんもその先輩のことは知っています。是非、第2のOさんになってもらいたいものです。

  • 2014年12月12日(金)18時44分

遊び続けて

12月11日(木)
 選択授業が終わって職員室に戻ってくると、「Pさんが来学期の登録に来ていますよ」と呼ばれました。受付に出てみると、Pさんが70%にも満たない出席率の数字を突きつけられて、困った顔をして立っていました。「先生、私、来学期も勉強したいです」と訴えてきました。
 Pさんの在籍する中級クラスは、今週から期末タスクとしてグループ活動をしています。期末タスクがあるから絶対に休むなと、先週口をすっぱくして言っていたにもかかわらず、Pさんは月曜火曜は遅刻、昨日は欠席でした。病欠ならまだしも、温泉へ行っていたと言います。今日だって、教室に入ったのが9:48でした。とてもじゃありませんが、真に勉強する気があるとは思えません。「問題外です。登録は認められません」と、追い返しました。
 今年に入ってから、毎学期1人ずつぐらい、こんなやり取りで帰国させているような気がします。KCPは日本語を勉強する人たちのための学校ですし、留学のビザはそういう学校でまじめに勉強する人たちに対して発給されるのです。大病をしたわけでもないのに出席率が7割をきり、学校を休んで温泉旅行する人は留学のビザを持つ資格がありません。いったん帰国し、観光ビザで再入国し、思う存分遊べばいいのです。遊びとアルバイトの合間で暇だから学校に顔を出すか…みたいな学生には在籍してほしくありません。
 Pさんは、ここに至ってようやく事の重大さに気づいたようで、受験講座が終わった頃を見計らってまた職員室へ来ました。私は、他の学生対応もあったこともあり、また、これ以上話すこともないので、ほうっておきました。今までの歴代の担任教師が注意し続けてきたのに改めようとしなかったツケです。きっちり耳をそろえて払ってもらおうじゃありませんか。

  • 2014年12月11日(木)19時22分

ダンシングチーム

12月10日(水)
 今週はクラブ活動の発表会ウィークで、今日は昼休みにダンス部の発表がありました。公演開始の12時半に6階の講堂に集まったのは70名ほど。教師を加えたら80名ぐらいでしょうか。
 オープニングはNさんのソロ。流れるような伝統舞踊の動きに、拍手が沸きあがりました。そうやって盛り上がったところで、Lさん、Yさんを中心とするダンシングチームが登場しました。いったいいつどこで練習していたんだろうって聞きたくなるくらい、メンバーの息がぴったりと合ったダンスでした。アンコールの声も上がりましたが、見た目よりかなりハードな動きだったようで、Yさんの最後の挨拶は息が弾んでいました。というわけで、アンコールはなしでした。もうちょっと見たいなっていうくらいがちょうどいいのかもしれません。
 Nさんは、残念ながら日本語の授業ではパッとしません。先日たまたまNさんのクラスに代講で入ったのですが、授業はわかっているのかいないのか…。そのNさんがピリッとした顔つきで踊っていたのですから、驚かずにはいられませんでした。スピーチコンテストのときにも踊りを披露したそうですが、私は審査結果の集計の最中でしたから見られませんでした。
 YさんやLさんのダンスはもう何回か見せてもらっていますから、いまさら驚きはしません。でも、何回見ても、メリハリのある動きには思わずひきつけられます。
 KCPの学生は実に多彩で、ダンスや絵や写真や楽器や料理やスポーツや、いろいろなことに長じている人がいます。中には日本でその才をさらに伸ばそうと考えている学生もいますが、勉強に打ち込むためにそれを封印している学生も多いことだと思います。そういう埋もれた才能に日の光が当たる機会を設けているつもりですが、きっとまだまだなのでしょう。そういう場があれば、認められる喜びが味わえ、それ以外の面でも学生を引き上げていけるのではないでしょうか。

  • 2014年12月10日(水)18時20分

清き一票

12月9日(火)
 朝、6階の教室で授業をしていると、選挙カーからの「よろしくお願いします」が聞こえてきました。1階の職員室にいると、たぶんまん前のビルにブロックされて音が届かずあまり気がつかないのですが、6階だと靖国通りからの声がダイレクトに入ってくるのでしょう。仮校舎時代にも何回か選挙がありましたが、本館などは外苑西通りに面していたこともあり、各候補の選挙カーからの声を始終聞いていたような気がします。
 新宿区が属する東京1区は、1票の重さが一番軽い選挙区だそうです。もし、議員定数を完全に有権者数比例にしたら、東京は選挙区と比例区で50人の議員を選出することになるという試算があります。それって、本当に国民の意見を反映したことになるのでしょうか。それだけ都会に住む人が多いというのが今の日本の姿なのですから、これこそ国民の意向を反映した議会だとも言えます。その一方で、区長選挙よりも狭い選挙区で選ばれた人に国の政治を行わせていいんだろうかという気もします。
 小選挙区制が間違ってるんじゃないかって思います。中選挙区制に問題があったから小選挙区制にしたのですが、現在の小選挙区制はかつての中選挙区制より問題が大きいと思います。丁目単位の選挙区にしたあげく死票が多いんじゃ、国政選挙の制度として失格だと思います。
 おとといの日曜日の夕方、うちに電話がかかってきました。某報道機関の世論調査でした。選挙には関心があるけど、投票する人も決めてなければ支持政党もないと答えました。典型的な無党派層の答えです。私の選挙区では自民党と民主党の候補が競り合っているのでしょうけど、どちらもパッとしません。中選挙区ならもうちょっと選択の幅が広がるんだろうなと思います。
 14日はO先生の結婚式がありますが、投票してからそちらへ向かうつもりです。

  • 2014年12月09日(火)18時59分

親の覚悟、子の覚悟

12月8日(月)
 来学期の受験講座の説明会を開きました。1月から始める学生は全員2016年4月入学を目指しますが、実際の入学試験は10~11月がピークで、1年もありません。出願はそれより1か月ぐらい早く、志望校の決定は、当然、それよりも2か月ぐらい早くしないといけません。大学院入試では、7月のJLPTで最低でもN2に合格しておくことが求められる場合もあります。また、TOEFLなんかは、一発勝負を避けようと思ったら、春先に出願です。
 毎回こういう話をしていますが、それを聞いた学生たちは毎回同様に暗い顔になります。進学のために自分に残された時間の短さに愕然とするのです。その短い時間内にすべきことは、勉強だけではありません。志望校決定もそうですし、受験料、入学金、授業料など、来年の4月までに用意しなければならないお金の手当ても考えなければなりません。アルバイトで稼ぎ出そうと思ったら、お金はたまったけどどこにも受からなかったということにもなりかねません。国の親に頼るにしても、早い時点で頼んでおかないと間に合わなくなってしまうかもしれません。国のご両親は、学生たち自身より日本の大学に関しての情報を持っていませんから、学生は自分自身が主動的に話を進めなければなりません。
 学生たちもその親御さんたちも、こういうことをどこまで覚悟しているのでしょうか。私の話をすごく新鮮そうに聞いている学生を見ると、心配になってしまいます。国で、日本での進学はお金がかかると聞かされてはいたでしょうが、改めてそれを説明され、お金の必要な時期が迫ってきたことを感じると、やはり驚かずにはいられないのです。国の親御さんたちは、学生たちに輪をかけて何もご存知ありませんから、さぞかし驚かれることでしょう。
 子供の教育は、その家庭にとっての一大プロジェクトです。身代を傾ける覚悟が求められます。学生たちは自分の親にどこまでお金を出させるか、お金をかける価値のある子供だと認めさせるか、そういう戦いが始まります。

  • 2014年12月08日(月)19時25分

死後の世界

12月6日(土)
 明日はJLPT。今日までそのための対策講座があり、夕方までラウンジで勉強していた学生も何名かいました。JLPTが終わると、ぐっと年の瀬が近づいてきた気がしてきます。校内いたるところにお茶会のポスターが張られ、ダンス部と演劇部の発表会も来週です。また、どのレベルも来週から再来週にかけて期末タスクが行われます。
 街中にはクリスマスツリー、コンビニではおせち料理の受付、先日は電車に某神社の初詣の広告が出ていました。私も、暇な時間ができたら年末年始の休みの予定に頭を使っています。すでに宿は手配してあるので、そこを足場にどこで何をするかを考えています。毎年JR東海の1月1日限定の乗り放題切符を使ってきたのですが、どうやらそれが発売されないみたいで、ちょっと当てが外れてしまいました。リニア新幹線建設にお金がかかるから、大出血の割引切符は廃止になっちゃったんでしょうか。
 そのリニア新幹線、名古屋までが2027年開業予定です。普通に考えれば、その頃はまだ元気でいられるでしょうから、名古屋まで地下鉄で行くような感じで1回ぐらいは乗ってみるんじゃないかな。私のうちの最寄り駅から新宿御苑前まで地下鉄で40分ちょっと、リニアで名古屋まではそれとほぼ同じ時間で、しかも90%近くがトンネルだそうですから、地下鉄で名古屋までっていう感覚ですよ、やっぱり。
 でも、2045年とされている大阪までの完成予定の時は、何とも微妙です。その年には男性の平均寿命を超える年齢ですから、地獄の底から恨めしく開通祝賀会を見上げているかもしれません。
 こんなふうに、リニア新幹線のニュースを聞くたびに、大阪開業のときは私はいないかもしれないって思わせられます。今までいろんな将来計画を聞いてきましたが、これほど自分の死後を意識させられたことはありません。お酒を飲まない私は忘年会シーズンでも暴飲暴食とは無縁ですが、健康に気をつけて何とか大阪までの地下鉄に乗ってみたいです。

  • 2014年12月06日(土)17時53分

異端を光らせる

12月5日(金)
 12月の声を聞くや冬型の気圧配置の日が多くなり、北日本のみならず、今日は中国四国地方でもけっこうな雪が降りました。東京あたりよりも広島や福岡のほうが雪が降りやすいという話を、ちょうど火曜日に選択授業の身近な科学でしたばかりです。実際の冬型の発生時期に合わせて予定を組んだのですが、ちょうどいいタイミングでした。これで出席していた学生が雪のニュースを聞いて「あ、授業でやったやつ!」って思ってくれたら最高なんですが、果たしてどうでしょう。
 身近な科学は、日本語学校の中では異質な授業です。文章を読むわけもはなく、文法や語彙を教えるわけでもなく、自分の意見を発表するわけでもなく、これを聞いたところでEJUの理科に役立つわけでもなく、日本語教育や受験に全く貢献するところがありません。強いて言えば、多少は大学の講義を聴く準備になるかなっていうところでしょうか。
 ノートを取る練習をさせようかとも思いましたが、ノートの取り方の指導までは手が回りそうもありませんでしたから、今学期は見合わせました。でも、進学希望の上級の学生が主たる受講生ですから、ただ私の独演会で終わらせてはならず、いずれは進学先で困らない日本語力をつけさせる授業の一環をなす方向に進むべきだと考えています。そのためには、パワポの資料の作り方から考え直して、重要なことがきちんと伝わり、それをノートに取ってもらえるような授業の進め方を作り上げる必要があります。
 こんなふうに書いちゃうと簡単そうに見えますが、やってる本人からするとこの上もなく大変な大事業です。でも、いずれはそういう授業が求められると思っています。泥縄に陥りがちな授業準備の中でも、きらりと光何かを織り込もうと研究しています。

  • 2014年12月05日(金)21時59分

外はまっ暗

12月4日(木)
 理科の受験講座が終わると、もう外はまっ暗です。特に今日のような曇りの日は、かすかな残照もなく、まさに夜空です。日の入りは16時28分、ここ1週間ほどが1年で最も早い日没です。去年の今頃は、受験講座が終わると仮校舎の足元もよく見えない外階段を慎重に下りて職員室に戻ったものです。しかも別館から本館まで移動しなければなりませんでしたから、コートにマフラーといういでたちでした。それゆえ、なお一層冬の夜っていう雰囲気を感じて、寂寥感が募りました。
 それに比べて、今は暖かい校舎の中だけの移動ですから、いい思いをさせてもらっています。受験講座の学生も、去年は授業が終わったらそのまま夜道を帰っていきましたが、今は多くが図書室やラウンジに向かいます。もうひと勉強してから家路に就くようです。WさんやFさんは1~2時間ぐらい受験講座の復習をするそうです。ラウンジではその日の予定を終えた学生がにこやかにおしゃべりしています。
 学生も教職員も、こんな新校舎の日々がすっかり板につきました。学生はすでに過半が4月以降に入学した仮校舎を知らない世代です。ラウンジのコンビニ自動販売機や地下駐輪場やウォシュレットを当たり前と思っています。来年3月の卒業式以降は、今年1月入学のごくわずかな学生だけが仮校舎時代を知るのみとなります。すでにきれいな校舎を守っていこうという姿勢に影がさしてきています。私の世代がその上の方々から、高度成長前の貧しい時代を知らないと言われたのと同じ現象がKCPでも見られ始めています。
 仮校舎のほうがよかったなんて言うつもりは毛頭ありません。ただ、自分たちは恵まれた環境にいるんだ、この環境を後輩たちのために守っていく責任を負っているんだということだけは忘れてほしくないです。

  • 2014年12月04日(木)19時39分

伝わったかな

12月3日(水)
 今学期は代講がけっこう多く、今日もレベル1のクラスに入りました。いわゆる「はが文」の導入でした。みんなの日本語で取り扱う「はが文」は「ミラーさんは背が高いです」とか「カリナさんは髪が短いです」とかっていう程度です。しかし、「はが文」は日本語の根幹を成す文型ですし、上級になってもこれが上手に使いこなせずに不細工な日本語を書いたり話したりする学生が多々います。「私の国は機械工業が立ち遅れている」ぐらい言ってほしいんですが、「私の国の機械工業は下手です」なんてなっちゃうんですね。
 学生に「はが文」の重要性が伝わっていないような気がしてなりません。単にテストで合格点を取ればいいという問題ではなく、日本人の思考回路や発想法を知るには「はが文」のニュアンスをきちんとくみ取ることが必須です。そういうことを、中級になってからではなく初級のうちからきっちりわからせていけば、上述のような日本人が間違っても作らないような文を発することがなくなるんじゃないでしょうか。
 初級の学生にそんなこと言っても伝わらないよって笑われちゃいそうですが、初級の学生のなれの果て(?)を知っている身としては、何か訴えずにはいられないのです。教書の「はが文」の扱いがあっさりしすぎていると思えてなりません。かと言って、初級の教科書で「はが文」の重要性を強調するにはどうすればいいかときかれても、自分が納得できるアイデアがあるわけではありません。
 今日のクラスの学生たちに、多少は私の気持ちが響いたでしょうか。教師の口より学生の口と思って、できるだけ発話練習をしたつもりですが、何か残せたのかなあ。

  • 2014年12月03日(水)19時21分

ごみを捨てるな

12月2日(火)
 ほとんど毎日私が朝一番に出勤するため、校舎の前をざっと見ます。敷地内や学校前の道路にごみが落ちていたら拾ってきれいにします。煙草の吸殻、お菓子の空き箱、コンビニ袋、ペットボトル、紙くず、枯葉などが目に付いたら始末しておきます。正面玄関の付近にそんなものがあったら、朝のさわやかな気分が台無しにされてしまいますからね。
 毎日やってると、たまに変なのに出くわします。カップめんの空き容器、ハンカチ(らしきもの)、ソックス片方、つい先日は飲みかけの缶ビールが花壇の縁に置かれていました。こういったものは、いったいどういうシチュエーションで捨てられたのでしょう。例えばカップめんの空き容器が毎日のように見つかるのなら、誰かがKCPの軒先を定宿としているのかもしれませんが、そんなはっきりした傾向はありません。缶ビールに至っては、このところの冷え込みの中、よくそんなものを飲み歩こうと思ったものだと、逆に感心してしまいます。
 いずれにしても、他人の敷地にそんなものを置いたり捨てたりするのは非常識だし、道路にごみを捨てるのは公徳心に欠ける行いです。歩き煙草をして最後に吸殻をポイ捨てしたとすると、新宿条例違反で罰金物です。学生には他人の敷地に入るなとかゴミ箱以外に物を捨てるなとか指導していますが、一般の日本人にもそういう教育が必要な情けない人がいるということなのでしょう。これをもって日本人の質的劣化が発生しているとまでは言いませんが、ごみを拾うたびに暗い気持ちにさせられます。
 昼休みに、園芸クラブの面々が玄関脇の花壇に冬咲きの花を植え込んでいました。この作業をしていたOさんたちが卒業するまで私たちの目を楽しませてくれるぐらいもつそうです。明日の朝からは、その花も優しく見守ってやろうと思っています。

  • 2014年12月02日(火)19時00分

同級生からのアドバイス

12月1日(月)
 今日のクラスは学期の初めから遅刻・欠席が目立つので、今日はどうしたら遅刻や欠席をしなくなるか話し合わせました。このクラス、欠席しない学生は徹底的に欠席せず、先月無遅刻無欠席で過ごした学生が4名いました。その一方で出席率が60~70%台をうろちょろしているのも数名いるのです。
 4名の無遅刻無欠席の学生をリーダーに、国籍や性別や普段の交友関係も考慮してグループ分けし、それぞれのグループで話し合ってもらいました。4名は自分の体験や出席率100%をキープする大変さを語り、他はそれを参考に自分の生活改善の糸口を見つけてもらおうという趣旨です。
 私が一番感心したのは、先月どころか入学以来1年以上にわたって皆勤を続けているCさんの話です。新宿御苑前駅に8:57に着いても、そこから走れば5階の教室に辛うじて9時に滑り込めると言います。もうちょっと余裕を持って家を出てほしいという意味であまりお勧めはしませんが、それぐらいの根性をもってもらいたいです。8:57の1本か2本前の電車で着いても、学校まででれでれ歩いてきて、上へ行ってしまったエレベーターが戻ってくるのを待ってなんかいたら、チャイムが鳴り終わってしまいます。そんなだらっとした気持ちの積み重ねが、得るものの少ない留学生活につながっていくのです。
 今日もCさんは9時ぎりぎりに教室に駆け込んできました。自分の記録に傷をつけまいとする気持ちが、Cさんの向上心にもつながり、日本語がほとんどゼロで来日したCさんをここまで押し上げたのです。これこそ、出席率が低迷している学生に学んでほしい精神です。
 Cさんは来年3月に卒業です。このままでいけば、皆勤賞です。できればもうちょっと家を早く出て、こちらをひやひやさせることなく皆勤賞を取ってもらいたいです。

  • 2014年12月01日(月)22時52分

文法不合格

11月28日(金)
 Tさんは初級クラスの学生ですが、来年の4月に調理の専門学校に進学しようと思っています。しかし、先日の中間テストでは文法が合格点にちょっと足りませんでした。それゆえ、上のレベルに進級できるかどうか、とても心配しています。
 その文法の答案用紙をTさんと一緒に詳しく見ていくと、「っ」を抜かしたために減点されたところがいくつか見つかり、それをきちんと答えていたら合格点に届いていたことがわかりました。Tさんはとても悔しそうな顔をしました。でも、手遅れです。これ以外にもきちんと覚えていなかったから正確に答えられずに減点されたところがいくつも見つかりました。
 Tさんを追及すると、案の定「大体わかったからOK」という考え方で、完全に覚えようとはしてこなかったのです。そのつけが中間テストに現れて、思ったほど成績が伸びませんでした。Tさんは自分ではまあまあできたと思っていましたから、不合格というのは相当ショックでした。同時に、年明けまもなくにある専門学校の入学試験が急に不安になってきました。特に面接試験が心配でならなくなってしまいました。
 文法のフィードバックが終わった後、簡単な面接練習をしました。「どうしてうちの学校で勉強しようと思ったんですか」「うちで何を勉強したいんですか」「卒業したらどうしようと思っていますか」など、基本バージョンを聞いてみました。Tさんの頭の中には語りたいことがたくさんあるのですが、それが日本語となって出てきません。そのもどかしさに顔をゆがめていました。
 Tさんの言いたいことをTさんが習った日本語を使って表現し、Tさんの頭の整理のお手伝いをしました。今学期中に何回か面接練習をする約束をして、今日は終わりにしました。来週から12月、Tさんの本番まで1か月半ほどです…。

  • 2014年11月28日(金)21時23分

親掛かり

11月27日(木)
 Jさんは今日も欠席。3時ごろ学校へ来て、欠席について責められると「明日からちゃんと来ます」。「あなたの明日はいつ来るんですか」と同じセリフを何回も聞かせられている私。
 3時になってもとにかく学校へ来たということは、学校から気持ちが離れてしまったわけではないでしょう。追試を受けたということは勉強する気がなくなったんじゃないと思われます。しかし、朝寝坊とは呼べない時間まで寝ていて欠席するとは、留学生にあるまじき振る舞いです。しかも、今日が初めてではなく、度重なる注意にもかかわらず一向に改まる気配が感じられません。
 Jさんには東京で働いているお母さんがいます。ところがJさんにはお母さんと同居する気はありません。口うるさい親から離れて暮らしたいのです。その気持ちはわからないでもありませんが、現状のようになすべきことというか法律上義務となっている学校への出席を疎かにしているとなると、親から独立して暮らす資格がないと判断せざるを得ません。独立できるほど大人になっていないのです。勤めに出るお母さんに起してもらえば、遅刻もせずにちゃんと登校できるはずです。
 要は、Jさんは子供が大人のふりをしようと背伸びをしているのに過ぎません。留学を続けるのは、実生活においても親に支えてもらう必要があります。W大学に入りたいなんて言っていますが、今のままでは金輪際不可能です。Jさんは頭はいいと思いますが、原状では宝の持ち腐れです。本気で自分の能力を開発し、明るい未来につなげようと思うなら、ここは1歩後退してお母さんと一緒に暮らして生活を立て直すこと、そしてその状態を継続していくことが何より必要です。
 今日はかなり厳しく言いましたから、名誉ある撤退を選んでくれると信じています。

  • 2014年11月27日(木)19時51分

壮観

11月26日(水)
 久しぶりに図書室の受付をしました。昼休みとあって、ほぼ満席でした。中間テストが終わって1週間あまり、気が抜けて居眠りでもしている学生を見つけたら叱り飛ばしてやろうと思っていましたが、見事に空振りでした。黙々と机に向かう学生たちの姿には、近寄りがたいものがありました。いや、壮観と言ったほうがいいでしょうか。外は10度を割る冷たい雨の日でしたが、図書室内は人口密度が高いことも手伝って、暖房なしでも寒さは感じませんでした。
 勉強している学生たちの手元をのぞき込んだわけではありませんが、授業の予習をしている午後クラスの学生がざっと半分、受験勉強か出願準備と思われる学生が2割ぐらいだったかな。残りの人たちは聴解の練習をしているらしき学生、早くも今日の宿題に取り組んでいるような学生、勉強を教えあっている雰囲気の学生などなどです。
 私は、高校時代は学校の図書室で勉強した記憶がありません。教室に居残って友達とおしゃべりしながら勉強していたんじゃないかなあ。大学時代はレポート作成のために図書館の資料を利用しなければならず、必然的に図書館通いをしました。インターネットなんて概念すら持ち合わせていませんでしたからね。
 今は、調べ物や勉強は早朝か深夜にしています。校舎の内も外も誰もいない静まり返った職員室が、一番能率的に仕事が進みます。自分の机のところだけ明かりをつけて周りの照明を落とすと、より一層落ち着けます。高校時代のおしゃべりしながらから、正反対に変わったようなもんです。図書室で勉強していた学生たちはどうだったのでしょうか。落ち着いて勉強できたでしょうか。勉強がはかどったでしょうか…。

  • 2014年11月26日(水)18時52分

大変な倍率

11月25日(火)
 おととい入試だったS大学の理科系学部は大変な数の受験生が集まったそうです。「若干名」募集のところに30名40名受験したそうですから、倍率10倍くらいです。KCPからも受験した学生がいましたが、面接でだいぶいじめられたようです。
S大学は疑いなく有名大学ですし、誰に聞いても「いい大学」と言われるでしょう。でもそれは文系学部のことであって、理系は文系ほど強いとは思いません。文系の名声につられて理系の評判が上がっているという図式です。
 そういうわけで、私も理系志望の学生に名前のわりには入りやすい大学として紹介してきました。去年まではそれが通っていましたが、今年はそういうわけにはいかなくなったようです。KCPから受験した学生並みの受験生が集まったとしたら、かなり厳しい戦いになったことでしょう。
 こういう状況になって、S大学がどのくらいの合格者を出すのか見ものです。合格ラインを上げて「若干名」を押し通すのか、「若干名」を拡大解釈して今までの合格ラインに到達した学生を合格とするのか、いったいどうなのでしょう。受験生にとってはもちろん後者がいいに決まっていますが、S大学の判断やいかに。
 やっぱり有名だけど入りやすいなんていう受験指導はいけませんね。S大学に対しても失礼だし。学問的にその大学やその学部学科に魅力を感じて出願っていう方向に持っていかなければ。
 でも、理系の場合、それで勝負できる大学ってあんまり多くないんですよね、国立をのけちゃうと。それと、どうしても大学の名前がほしいと言い張る学生がいることも確かです。プロ好みのする大学より一般受けする大学を選ぼうとします。それを全面的に否定しませんし、S大学の理系志望者全員が名前につられているとも思いません。ただ、第一志望とかそうじゃないとかに関係なく、王道的な志望理由で受験し合格する学生がどれだけいるのか、ちょっと知りたいです。
 今日もたくさんの学生が書類をそろえ、いろんな大学に出願しました。この学生たちの心の中はどうなっているのでしょうか。

  • 2014年11月25日(火)20時35分
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