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KCP校長ブログ

  KCP地球市民日本語学校校長・金原宏のブログです。

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コートなしで

3月4日(火)
 朝は曇っていましたが、日中は気持ちよく晴れたため、コートを着ないで別館へ行ったり買い物に出たりしました。日陰はやっぱり空気が冷たかったですが、陽だまりではポケットに手を突っ込むことなく歩けました。風が弱かったというのも1つの要因でした。後で調べてみると気温は10度をちょっと超えた程度でしたから平年値よりも低かったのですが、頼りがいのある日差しがその寒さを感じさせませんでした。まあ、下着はヒートッテクで固めていますから、そっちのほうがファクターとしては大きいかもしれませんが。
 よく見ると、昼間はコートを着ないで歩いている人がかなりいます。もしかすると過半数かもしれません。真冬からの惰性でコートやマフラーや手袋を身に付けていてはいけないのでしょう。絶妙のタイミングでコートを脱いだり着たりするのは難しいです。寒い思いをするのが嫌でマフラーをしたら首筋が暑苦しかったり、思い切って薄手のセーターで外に出たらブルッときてしまったり、この時期は着るものの試行錯誤の連続です。
 明日は気温はそんなに変わらないみたいですが、雨という予報が出ていますから、ほのかな暖かさを感じるわけにはいかないでしょう。金曜日のバス旅行の日は、お天気は回復するものの、寒さは残りそうです。でも、日が照ってさえくれれば、春を感じることはできるに違いありません。

  • 2014年03月04日(火)21時24分

日本科学未来館で課外授業

3月3日(月)
 課外授業で日本科学未来館へ行ってきました。一部、勘違いして学校へ来てしまった学生もいましたが、開館時刻が近づくにつれて学生が集まり、10時に入館したら小学生の団体を除くと私たちが過半数を占めていました。
 現在、日本科学未来館では“THE 世界一展”という企画展が開かれています。日本が生み出した世界一の技術、世界初の製品などを集めた展示です。その中には教材として取り上げたものもあり、学生たちは実物を見てしきりに感心していました。
 私は理系人間であり、技術系の仕事をしていましたから、こういう企画には非常に関心があります。しかし、この手の展示は往々にして子供だましみたいなものになりがちで、見てみてがっかりというケースが少なくありません。日本科学未来館だからという期待もありましたが、期待しすぎてはいけないという思いもありました。で、今回はどうかというと、十分楽しめました。ウォークマンやカップヌードルなどというよく知られた製品のほかに、微細加工や新しく開発された材料などの展示があり、学生そっちのけで見入ってしまいました。もう少し展示の説明が詳しいともっとよかったと思いましたが、それじゃあマニアックすぎるでしょうし、特許なんかとの関連もあるでしょうから、難しいんでしょうね。
  ASIMOも実物を初めて見ました。歩く姿が思ったよりぎこちなく見えましたが、止まるときや向きを変えるときに小刻みにステップを踏んでバランスを取ったり位置を微調整するあたりに“人間らしさ”を感じました。身長130cmと紹介されていましたが、これは鉄腕アトムと同じぐらいのはずです。日本のロボットの原点は鉄腕アトムだとよく言われますが、本当にそうだなと思いました。
 最後の集合場所とした1階の大スクリーンは、その前にいる人たちが動くと、画面に映ったその人から音符が湧き出てきます。これに反応したのがPさん、Lさん、Sさん。盛んに動き回って音符を出しまくっていました。Oさんも密かに傘を回して、こっそり音符を出して楽しんでいました。

  • 2014年03月03日(月)16時44分

本能とビットコイン

2月28日(金)
 ビットコインが大変なことになっています。取引所を運営していたマウントゴックスが経営破綻して民事再生法を申請ました。報道によると、不正アクセスによりビットコインそのものと顧客からの預かり金が盗まれてしまったとのことです。
 我々一般庶民は、電子的なデータは消えないという印象を持っています。それゆえ安全性が高いと思っています。しかし、それは通常の状態での話であり、かかわる人々が皆善人の場合です。コンピューターウィルスを始め、悪意に基づく行動に対しては案外弱いものです。
 3年前の震災では、津波に襲われたコンピューターに保存されていた写真は二度と見ることができなくなってしまいましたが、プリントしてアルバムに貼ってあった写真は、汚れたり傷ついたりはしたものの、修復可能なものもありました。異常事態に対しても脆弱な姿をさらしました。
 経済のグローバル化が進み、国境を越えた取り引きがあたりまえとなり、国という単位が現実に合わなくなってきました。国による規制がないところで取り引きしたいという思いがビットコインを生んだのでしょう。いわば世界通貨の役割を担おうとしたシステムだと思います。
 マウントゴックスがビットコインのすべてではありませんから、今回の事件によってビットコインがつぶれてしまうことはないでしょう。また、「自由」を求める流れも止まらないでしょう。しかし、電子的に「自由」を求めた結果、その「自由」には危険が伴うことが今回示されたのではないかと思います。
 ちょっと前からビットコインに関する情報を集めてきましたが、私の古い頭では今ひとつ理解できないところがありました。でもそれは、本能的にこういう危険を察知していたのかもしれません。「コイン」と名乗りつつも、私たちが使い慣れているお金とは異質なものなのだと思います。

  • 2014年02月28日(金)21時19分

新校舎のお手伝い

2月27日(木)
 新校舎が出来上がりつつあり、図書室の本など、荷物の搬入を始めています。このところ毎日、M先生が学生を引き連れて図書室の棚にどんどん並べています。3月で卒業してしまい、4月からの新校舎には入れない学生たちですが、一生懸命汗を流してくれているそうです。
 新校舎は新しい机といすを入れるので現在使ってるのが不要になるため、今日から、学校の机といすの引き取り手の募集を始めました。教室の机といすがほしいという学生がいたので、全校的に聞いてみることにしたのです。私のクラスでも何名か反応を示しました。学校の机を見ると勉強しなきゃっていう気持ちになる、と言っていました。突っ伏して居眠りするのにちょうどいいなんていう声は上がりませんでしたから、学生にしたら気も日が引き締まるんでしょうね、学校の机は。
 3月になると、机・いすを始め、調度品や機器類などが次々と運び込まれます。また卒業生の手を借りることにもなるでしょう。例年は卒業式が終わると上級の教師は一息つけるのですが、今年はそういうわけには行きません。卒業生たちと汗を流す場面も出てくるでしょう。腰を痛めない程度に頑張りたいです。
 3月に卒業していく学生たちは、窮屈な仮校舎で過ごしてきました。そして新校舎に入ることなく去っていきます。去年の秋あたり、工事現場に掲示されいた完成予定日を見て、「私たちは新校舎では勉強できないんですね」と少し寂しそうにつぶやいていた学生がいました。新校舎の整備のお手伝いをする学生たちはどんな気持ちなのでしょう。

  • 2014年02月27日(木)19時26分

今日は三寒? 四温?

2月26日(水)
 昨日あたりから暖かくなり、日中、本館と別館の間を往復するときぐらいは、コートなしでも寒くはありません。さすがに朝晩は冷え込みますので家からコートなしで出勤するわけにはいきませんが、春が一歩近づいたことは感じさせられました。まだ三寒四温の“四温”に当たっているだけで、今週末は天気が崩れて“三寒”に戻るようです。でも、それも冷たい雨どまりで、もう27センチなんていう雪は降らないでしょうね。
 来週の金曜日はバス旅行です。今年は日光江戸村です。前回行ったときはみぞれに見舞われひどい目にあいました。私の予報では曇り空で、宇都宮あたりまでは実際に曇りだったのですが、日光江戸村が近づくと雨が降り出し、それが雪交じりになってしまいました。江戸村が思っていた以上に山間部で、山肌に沿って水蒸気が立ち上るのを見て、負けたと思いました。現地の地形をきちんと調べておけば、雨が予測できたかもしれません。そうすれば目的地を変更できたかもしれません。
 今回は、今のところ雨にはならないんじゃないかと予測しています。東京よりは寒いですが、あの雪の日を思えばすっとましなはずです。悪くとも東京の普通の真冬程度の寒さではないかと思っています。うまくすると“四温”に恵まれるのではないかと、密かに期待しています。
 天気予報担当は、こうして今から気をもんでいるのですが、クラスの学生はバス旅行はまだ先のことと感じているみたいです。授業で事前学習の発表をし、気分が盛り上がったところでバス旅行関連の話を進めようとしましたが、まだ機は熟していなかったようです。
 花粉症の先生方はもうぐしゅぐしゅやり始めています。日光江戸村まで春だとそういう先生方はお辛いでしょうが、明るい日差しの中で江戸風情を楽しみたいです。

  • 2014年02月26日(水)20時17分

国際性とは

2月25日(火)
 今学期は選択授業で「時事問題」なるものを扱っています。今週の時事問題といえばウクライナ情勢ですが、学生たちはあまり関心を示しそうもないので、今朝のY紙の社説をネタに、羽田と成田の問題を取り上げました。アジアのハブ空港になれそうでなれていないという現状をどう改善すべきかというないようです。
 その基礎知識として、アジアの白地図に国名を入れさせました。これが恐ろしくできないんですね。フランスのAさんに太刀打ちできたアジアの学生は、Kさん1人でした。自分の国も含めて3つぐらいしかわからない学生が続出しました。以前もこれをやったのですが、やはり同様でした。留学しているから世界が広がっているのかと思いきや、自国の周りしか目が届いていないのが現状のようです。
 日本という世界の隅っこ、極東の国に留学しても世界は広がらないのでしょうか。大陸の真ん中の国出身の学生でも、自分の隣国すら満足に答えられないのはいかがなものかと思います。日本語学習とアルバイトで精一杯で、それ以外のことには目が向かないのでしょうか。私は学生の心構えが足りないと思います。自国の外のことに、もっともっと関心を持ってもらいたいです。
 進学希望者の志望理由書を見たり面接練習をしたりしても、「国際学部」みたいなところに進もうとしている学生ですら、「国際」とは自国と日本との関係だったりします。「グローバル人材」「国際人」になりたいと言いつつも、ローカルな発想から抜け出せていません。日本で本物のオタクを見て世界が広がったなんて思ってほしくありません。
 KCPには結構いろいろな国から学生が集まってきているのですが、その多様性を学生が実感していない、そのメリットを活用し切れていないきらいがあります。でも、その利点を存分に享受している学生もいます。そういう学生からいい影響を引き出して学生全体のレベルアップを図ることが、私たち教師の役割だと思います。

  • 2014年02月25日(火)18時53分

明日の最終決戦を控えて

2月24日(月)
 明日は多くの国立大学で入試が行われます。私の周りでも、何名かが挑戦します。既に私立大学などに合格が決まっている学生はともかく、ここが勝負という学生は顔つきが違います。
 遠隔地に赴く学生も東京近郊で受験する学生も今日の授業は受けていましたが、心ここにあらずという感じでした。ノートを取っているのかと思って手元をのぞいてみると面接で聞かれるであろう志望理由をまとめていたり、ケータイで大学までの道順を確認したり、落ち着きがありませんでした。心情的には受験の前の日は公休にしてあげたいですけどね。私の頃は3学期は1月いっぱいぐらいで、この時期は自宅学習になっていました。日本語学校の場合は、学生のビザの関係やら何やらでそうもいきません。
  東京近郊以外のこちらの手の届かないところへ行く学生には、初めての土地でうまくホテルや大学までたどり着くだろうか、そもそも、東京発の新幹線や飛行機にちゃんと乗れるだろうかなど、更なる心配の種が生じます。できれば今日中に試験会場の下見をしておいてもらいたいですが、面接練習なんかしてから現地に向かうと、着くのが夜になってしまいます。それでも、初めての町の第一印象は大事にするように言っておきました。そういうことを明日の面接で志望理由に付け加えると、面接官の見る目も変わってくるものです。
 明日(一部はあさっても)が終わると、今シーズンの受験はほぼ終了です。合格発表まで、束の間の平穏が訪れます。合格発表はバス旅行の前後に集中しています。にっこり笑って日光江戸村を楽しめればいいですね。

  • 2014年02月24日(月)17時37分

計算力

2月21日(金)
 今学期から2015年大学進学を目指す学生たちに向けての受験講座が始まりました。教えるほうも教わるほうもだいぶなじんできて、学生の特徴や力量もだんだんつかめてきました。
 私が担当している理科の学生たちは、あまりよろしくない特徴を持っています。それは、計算が嫌いなことです。文字式ではなく具体的な数字を用いての計算となると、すぐ電卓を使いたがります。EJUも含めて入試では、もちろん電卓は使えません。ですから、今のうちから速く計算する訓練をしていかねばなりません。それを嫌がっているのです。頭脳は悪くはないのですが、手を使ってきちんと結果を出すところまでしないと、その能力の高さを入試の場で大学側に認めさせることはできません。
  入試以外では電卓を使って数値を出す場合がほとんどでしょう。研究現場だったら、電卓すら使わず、コンピューターが勝手に計算して、その結果を画面上で確認するというパターンになるかもしれません。しかし、式を立てて、その結果が概略いくらになるのかを直感的につかむ能力は、理科系では欠かせません。そして、その数値が妥当なものかどうか、すばらしい結果なのかそうでもないのか、といったことを判断できることが、科学者・技術者としての素養なのです。これがなかったら、多少の頭のよさなど吹っ飛んでしまいます。
 毎年同じようなことを感じていますが、今年は特に強く感じます。頭のよさも探究心も水準以上のものを持っているだけに、計算嫌いという欠点が際立ってしまいます。6月のEJUまで4か月ほどありますが、それまでには何とかしたいです。来週はEJUの願書が届きます。出願締め切りがバス旅行の日なので、その前に出願させなければなりません。受験シーズンが、確実に始まっています。

  • 2014年02月21日(金)18時21分

意味不明の論文

2月20日(木)
 夕方、数年前にKCPを卒業して現在働きながらD大学の大学院に通っているMさんが来ました。論文の提出が迫ってきたので、日本語が間違っていないかチェックしてほしいという頼みでした。専門分野については詳しく知らないので、文法や単語の使い方のチェックだけのつもりで読み始めました。
 ところが、序文の次の研究目的のところで読み進めなくなってしまいました。文の意味が全くわからないのです。1つ1つの単語の意味はわかります。しかし、それらの単語で構成されている文は、言わんとしているところが全く見えてきませんでした。
 最大の原因は、文がとてつもなく長いことです。10行近くにわたる1つの段落が、1つの文になっているのです。1つの文が数百字です。わかりやすいわけがありません。その次の段落はさらに2行ぐらい長いのに、これまた1つの文です。内容の見当すら付きません。
 Mさんにそれを指摘すると、Mさんの担当教授はそれでいいといっているとのことでした。Mさんの専門分野のプロは、この程度の文字通りの長文でも、キーワードを拾い読みすれば内容が把握できるのでしょう。しかし、私のような素人には無理です。どれが主語でそれに対応する述語がどこにあるのかさえわからない文の意味など、捕らえようがありません。
  何が何でもMさんの論文の内容を知りたいわけではありませんから、論文の審査官である教授がわかると言っているのなら、私ごときがとやかく言う筋合いではありません。でも、こんなわかりにくい論文で学位がもらえてしまうなんて、そこの学界は何を考えているのだろうと思わずにはいられませんでした。その学界はわりと新しいことをしていそうなイメージでしたが、実は学界のボスがいて、そのボスがすべてを仕切っている旧態依然の世界なのかもしれません。
 確かのどの学界でもそこの風土みたいなものがあります。だから、論文の書き方や口頭発表のし方、資料の作り方などに癖があったとしても不思議はありません。しかし、まるで読みにくさを旨としたかのような論文が飛び交っている学界に将来の発展があるとは思えません。
 そのほかの部分はMさんの補足説明を聞けば理解できました。その業界特有の言い回しがいくつもあって、私がいた化学や工学の分野とは作法が違うなと面白がりながら読む余裕も生まれました。それだけに、あの2つの文が奇怪でたまりませんでした。

  • 2014年02月20日(木)22時31分

学生の質が上がった?

2月19日(水)
 中間テストの日は、いつもと違うクラスに入り、試験監督をします。今日は午前も午後も初級のクラスに入りました。悪いことをする学生もおらず、最後の科目の時間になりました。最後の科目は、できた人は答案用紙を提出して帰ってもいいことになっています。その後その教室を使わない場合は、清掃しやすいように椅子をひっくり返して机の上の載せて帰るのがルールです。今日私が入ったクラスは、どちらもそのルールが当てはまるクラスでした。
 学生はテストが終わると解放感に浸ってしまうのか、試験時間を余して退室する場合でも、まだテストに取り組んでいるクラスメートのことなど全く考えていないかのように、大きな音を立てて椅子を机の上に載せ、ドアに恨みでもあるのかと言いたくなるくらいばしんと鋭い音をさせて、出て行きます。これは、国籍を問わずです。今日もそんな光景が繰り返されるのかなと思っていたところ、どちらのクラスの学生も、しずーかに椅子を机に載せるではありませんか。音が全然しないわけではありませんが、学生たちの動作からは、明らかに周りに気を使っていることが感じられました。1人の学生だけならその学生がそういうところまで気の回る性格なんだろうと思えますが、今日はほぼ全員がそうでした。
  きっとクラスでそういう指導をしているのだろうと、担任のK先生に聞いてみたところ、そんな指導はしていないとのこと。ということは、どこかでそういうことをしつけられて来日したということなのでしょうか。それとも、学生の質が劇的に向上したということなのでしょうか。どちらでもいいのですが、喜ばしい限りです。
 自分のことしか考えないのではなく、周りの人や後から使う人のことを考えて行動するようにということは、KCPの教師が1年中言っていることです。昨日も、喫煙所の吸殻入れに吸殻以外のごみを捨てないようにという注意をしたばかりです。注意するほうも「またか」という暗澹たる気持ちになってしまったのですが、今日の学生たちの行動はとてもさわやかでした。他のクラスがどんな具合だったかまではわかりませんが、エレガントな学生が出てきたんだなと感じさせられました。

  • 2014年02月19日(水)18時56分

卒業認定試験を控えて

2月18日(火)
 中間テスト前の授業は今日で終わりです。卒業生にとっては、明日の中間テストは卒業認定試験を兼ねていますから、明日は卒業を賭けての大一番となります。今日の私のクラスは、そういう卒業生が大半を占めるクラスで、学生たちも気合が入っていました。ただ、その気合が若干空回り気味のきらいもありましたが…。
 KCPは卒業証書に重い意義を置いています。権威を持たせようと思っています。KCPできちんと勉強し、しかるべき実力をつけた学生にのみ卒業証書を渡しています。したがって、あまりにも欠席が多かったり、不合格の科目が多かったりした場合は、たとえ最上級クラスの学生でも、修了証書になります。卒業証書は努力の証だと考えます。それゆえ、あまり努力もせず、遊んでばかりだったりアルバイトに熱中し過ぎたりしていた学生には、卒業証書は渡したくありません。きちんと努力を重ねてきた学生であるかどうかを見極めるのが、明日の卒業認定試験なのです。
  今日の授業は読解でした。かなり難解な文章を扱っているので、上級の学生とはいえ、明日の試験が心配になってしまったのです。こちらも学生の顔つきを見ながら、手を替え品を替え、学生に問いかけたり説明したりしました。今日のこのクラスの学生たちは、難しいけれども最後まであきらめずに理解を深めようという姿勢が感じられました。こういう気持ちで勉強を続けてきた学生に、卒業証書を渡したいのです。
 それに対して、認定試験で合格点を取ればいいんだろうとばかりに、ろくに授業に参加しない学生には、卒業証書を渡したくはありません。でも、こういう学生は語学のセンスがありますから、たとえ欠席が目立っても試験で点数を取ってしまうんですよね。
 どの学生も、明日は「敵前逃亡」などという情けない仕儀に陥らぬよう、正々堂々と勝負してもらいたいです。

  • 2014年02月18日(火)19時28分

2つの選択肢

2月17日(月)
 Tさんは、進学先に悩んでいます。M大学とR大学に受かったのですが、どちらに進んだらいいか迷っています。どちらも偏差値は同程度で、大学のネームバリューなど、外面的なことでは差がつきません。ネット情報だけでは見えてこない内情を求めて、私のところへ来ました。
 Tさんは「歳を食っているから」と、4年で卒業して就職するつもりです。この「4年」がくせもので、絶対に留年はしたくないのです。R大学は進級基準が厳しいという噂を耳にし、M大学にしようかと思ったけれども、R大学のほうが就職がいいとも聞いて、悩んでしまっています。
 R大学の就職がいいというのは、進級基準が厳しくしっかりした教育をしているということの裏返しではないでしょうか。R大学というブランドは、受験生に対してよりも、企業の採用担当にとって輝いて見えるのかもしれません。
 もちろん、M大学だって負けてはいません。大学の規模はR大学より大きいですから、就職に関してもきっと卒業生のネットワークがあるはずです。それを有効に活用すれば、R大学に劣らぬ就職活動ができるに違いありません。
 私に言わせれば、そもそも、進級できないかもしれないと悩む時点で間違っています。入試に通ったということは、その大学の勉強についていくだけの力があると認められているのです。きちんと努力さえすれば、順調に進級を重ね、4年で卒業できると見込まれているのです。大学に入ったら遊ぼうとかアルバイトに励もうとか考えているようなら、別にR大学に限らず、4年で卒業もしかるべき企業への就職も不可能です。Tさんにそういう気持ちがあるとしたら、キリギリス的な学生生活を送ることになるでしょう。
 でも、これから勝負をかける学生もいる中、進む大学に悩むなんて、贅沢な話です。受験を控えた友達と同じぐらい真剣に悩んで進学先を選べば、悔いのない選択ができるでしょう。

  • 2014年02月17日(月)19時43分

またもや雪

2月14日(金)
 先週末に続いて雪に見舞われました。今日の雪は前回より水っぽいので、前回ほどは積もりませんでしたが、歩道が滑って歩きにくいことおびただしいです。雪が水っぽいということは、南岸低気圧が持ち込んだ気団の温度が高いということで、それだけ春が近づいたとも考えられますが、日中の気温が1度前後ではそんな気持ちにはなれません。
 この雪の中、朝一番に、先生方よりも早く職員室に顔を見せたのはNさんでした。南国生まれのNさんも、さすがに2週連続の雪は食傷気味かなと思いましたが、聞いてみたらそうでもなさそうでした。バレンタインデーのチョコレートを配っていました。私もおこぼれを頂戴しました。
  それにひきかえ、この雪のせいか、今日の私のクラスは遅刻・欠席が多かったです。この雪と寒さをものともせずに登校した学生へのサービスとして、文法テストのフィードバックを兼ねて、今学期の文法の総復習をしました。来週水曜の中間テストの範囲の内容ですから、学生たちも真剣でした。
  真剣に取り組んでくれるのはいいのですが、学生たちは習った内容をものの見事に忘れています。4択問題は選択肢すべてを説明しなければなりませんでした。時には、初級文法に戻って解説を加えました。似たような文法は、その意味や用法の違いを、例文を出して示しました。
 上級ともなると、いろんな時期に習ったいろんな文法が未整理のまま頭に突っ込まれています。それを棚卸して、きちんと使える状態に記憶をまとめ直すお手伝いするつもりで、今日の授業をしました。でも、大半の学生が卒業してしまいます。進学する学生も多く、進学したら日本語にじっくり向き合う時間が取れませんから、この学校にいるうちに少しでも何とかしてあげたいです。
 先週末ほどではないにしても、交通機関に影響が出始めています。今日は早く帰るにこしたことはないみたいです。

  • 2014年02月14日(金)18時06分

今、鍛える

2月13日(木)
 Kさんは国立大学を受験します。今月末に試験日を控え、面接試験の準備に余念がありません。予想される質問に対する答えを考え、志望学部・学科の周辺事項を調べ、その大学のある地方についても調べ、さらにはその大学にどうしても入りたいという気持ちを盛り上げ、Kさんは入試に向けて全力を傾けています。
 しかし、今のところその成果が現れていません。模擬面接をしてみると、答えを暗記した質問に対してはすらすら自分を語れますが、その回答に対して一歩突っ込んだ質問をすると、もうメタメタです。入りたいという思いが空回りして、Kさん自身でも何を言っているのかわからなくなっていることが、手に取るようにわかります。
  はっきり言って、Kさんがその国立大学を受験するのは冒険です。勝ち目がないとは言いませんが、受験日までに実力の上積みを図らないと手が届かないことは間違いありません。その上積みがまだまだ足りないのが現状です。今は、上積みの基礎部分を構築しているところです。実力を蓄積して、本番で爆発させてもらうべく、毎日特訓が続いています。
 Wさんは、小論文の特訓を受けています。やはり、月末の国立受験のためです。はたで見ていると行き詰っているようにも見えます。しかし、この行き詰まりを打破しないと合格は見えてきません。これは、Wさんにとっては大きな試練です。秋口にさっさと合格を決めてしまった同級生も大勢おり、そういう学生がのんびりしているのを横目に受験勉強を続けるのは、並大抵の精神力ではありません。
 2人は、私たちにとって今シーズン最後の受験指導となるでしょう。有終の美を飾りたいです。

  • 2014年02月13日(木)21時06分

会話タスクで自信を持って

2月12日(水)
 今日の中級は日本人ゲストの会話でした。先々週、先週と、自分の意見だけを言い張るのではなく、他人の意見にも耳を傾け、それに対してさらに意見を加えたり反論したりするということを目標に、練習してきました。その成果を発揮する場が今日です。最近のニュースをネタに、意見を言い合うというのが今日の課題です。
 私のクラスは、家庭のしつけと学校での教育の関係について話し合いました。結構難しいことばも使って、盛んに議論していました。「核家族化が進んできたので、家庭での教育力が落ちてきた」などという意見も出てきました。
 緊張していたと言いつつも、どの学生も生き生きと会話タスクに臨んでいました。会話が得意な学生はいつもの勢いで、話すのが苦手な学生も苦手ななりに、精一杯ゲストに向かって意見を言っていました。むしろ、得意な学生が勢いあまって失礼な口の利き方をしていないか見張るのが、私の役割です。
 学生たちにとっての会話は、とかく流行語を使って何かやり取りすることになりがちですが、それではごく浅い人間関係しか築けません。相手に配慮しながら自分の意見をしっかり伝えられてこそ、本当の意味の会話が成り立つのです。今日の私のクラスの学生たちは、そういう観点からは、きちんと会話していたと思います。学生たちも何か手ごたえを感じられたのではないでしょうか。それが会話や、ひいては日本語全般に対する自信につながってくれるとありがたいのですが。
 これを皮切りに、いろんなレベルがいろんな会話タスクを計画しています。それを通して得た自信が、次のレベルへのステップになるのです。学生の皆さん、頑張ってください。

  • 2014年02月12日(水)21時20分

大雪のあと

2月10日(月)
 派手に降りましたね、週末は。都心の積雪は最高で27cmだったそうですが、うちのベランダの吹き溜まりでは、30cm以上になっていたと思います。昨日1日でだいぶ解けましたが、まだ20cmぐらいはあります。ですから、今朝は学校の周りはどうなっているかと心配しながら出勤しましたが、どなたかが雪かきをしてくださったようで、普通の靴でも楽に歩けました。去年の大雪のときに使った雪かき道具を持って来ましたが、見事に空振りでした。
 私のうちは地下鉄沿線のため、足に関しては雪の影響はほとんど受けません。そんなわけで、急にぽっかり休みになった土曜日、雪が降りしきる中、ちょっと買い物に出ました。うちにいてもエアコンの電気代がかさむだけですからね。電車はその割にはすいていませんでしたが、いつもは身動きもままならないほどこんでいるT屋ががらがらでした。レジの店員が手持ち無沙汰にしていたくらいです。T屋でゆっくり買い物をしたなんて、初めてでした。おかげで、消費税増税前の駆け込み需要に一役買ってしまいました。
 昨日あたりは、雪かきをする大人と、雪遊びに興じる子供とが並んでいました。大人も雪が降っているときは何か心浮き立つものを感じるものですが、降り積もった雪を目の前にすると、その雪がもたらす生活の圧迫に呆然としてしまいます。子供はその呆然を知らないがゆえに無邪気なのでしょう。
 東京は雪をほとんど考えずに街がつくられていますし、そこに住む人々も雪が降らないことを前提に日々の生活を送っています。だからたまに雪が降ると都市機能が麻痺してしまうわけです。しかし、東京の雪は、今回もそうでしたが、降っても1日こっきりです。しかも、雪の日は一冬に片手で数えられるほどです。ブーブー言いながら予定キャンセルの連絡をしたり、へっぴり腰で歩いたり、電車が止まっていらいらしたりっていうのは、雪に備えてこなかった代償です。これプラス雪かきの筋肉痛ぐらいで一冬が過ごせるなら、雪国の人に対して申し訳ないくらいです。もちろん、この雪で亡くなった方、けがをした方にとっては、それはとんでもなく重い雪への代償です。
 27cmも積もりましたから、さすがにまだ雪が残っていますが、週末あたりに予報されている雨が降ったら、完全に消えてしまうでしょう。そうすれば、またいつもの東京が戻ります。桜の便りを待ち焦がれる日々が戻ります。

  • 2014年02月10日(月)21時15分

ものまね王者

2月7日(金)
 今日のクラスは、卒業制作の撮影をしました。卒業記念CDに入れる動画でです。Lさんが台本を作って、他のクラスメートはそれにのっとって演技をするのですが、周りから演技に注文が付けられて、どんどんバージョンアップしていきます。
 Kさんが教師のものまねをし、学生たちは各自に特徴的な行動を大げさにやって、毎日の教室を表します。Pさんの居眠り、Hさんのケータイいじり、Oさんのぼんやりなど、教師としてはブチ切れそうなことばかりですが、演技という形でカリカチュアされると、笑って許してやりたくなりますから不思議なものです。そしてKさんは教師の特徴を実によく捕らえています。M先生の口癖、動作、まさに生き写しです。台本外で一発芸で見せたA先生のまねも、学生たちはすぐにわかったらしく、「A先生、A先生」とささやいていました。私のものまねとなると、こんなみっともないことをしているのかと自己嫌悪に陥りそうになります。それにしても学生たちの観察眼には驚くばかりです。
 その撮影が終わってから通常の授業をしましたが、いつもより集中していたように感じました。Pさんは居眠りをせず、Hさんは教師の話を聞き、Oさんは教科書に集中していました。何か一つの仕事を成し遂げたという達成感があるんですかね。
 さて、東京地方は今晩から雪が予報されています。明日は1日中降り続くようなので、明日の受験講座などはすべて休講としました。青空で陽射しが結構まぶしいのに休講の連絡をするというのはなんだか調子が狂ってしまうのですが、備えあれば憂いなしです。早めに決断して早めに手を打つことにこしたことはありません。明日は私たちも骨休めということになります。

  • 2014年02月07日(金)21時32分

割烹着ブーム到来?

2月6日(木)
 割烹着が売れているそうです。STAP細胞を作製した小保方晴子さんが割烹着を着て実験をしている姿が報道されて以来、ネット通販などで売り上げが伸びているとのことです。
 割烹着は、祖母は父方も母方も着ていましたが、母は着ていませんでした。割烹着姿の小保方さんの写真を見て、ずいぶん懐かしいものを着ているなと思ったのと同時に、2人の祖母を思い出しました。父方の祖母はもんぺもはいていましたから、もんぺ姿で実験室内を駆け回る小保方さんを想像してしまいました。
 それにしても、日本人はブームに乗りやすいですね。健康にいいとかダイエットに効くとかテレビで言われると、バナナでもトマトでも納豆でも、何でも売れてしまいます。品薄だと報じられると、最後の1個にあぶれないように、我先に買い込みに走ります。おかげで、バナナやトマトや納豆をコンスタントに食べていた私が割を食ってしまいました。
 今回の割烹着ブームも、せいぜい春まででしょうね。初夏になってだんだん暑くなると、割烹着がうっとうしく感じられて、いつの間にかブームが消えていた…という図式でしょうね。
 でも、割烹着は体の前にビラビラするものがなく、家事をするにも実験をするにも合理的だと思います。着るのがちょっと面倒くさいかもしれませんが、動きやすさが捨てられずに着続ける人がいてもおかしくありません。ネット通販の割烹着のページを見たら、伝統的な白だけでなく、パステルカラーみたいなのまでありました。案外と根強いファンをつかむかもしれません。
 小保方さんはブームを作り、多くの人々がそれにくっついて行こうとしています。割烹着という現代にはちょっと珍しい姿を肩肘張らずに貫き通しているうちに、いつの間にか日本の風俗を動かしていたのです。こういうことを自然にやってしまうあたりが、本当の創造力の証なんでしょう。

  • 2014年02月06日(木)18時12分

はやってます

2月5日(水)
 昨日は雪が降り、今日は最低気温が氷点下で最高気温も5.2度どまりと、暦の上で春になったとたんに真冬に戻ったような日が続いています。昨日の雪は南岸低気圧によるもので、南岸低気圧の翌日は冬型が強まるものですが、今日の寒さは半端じゃありません。日枝神社まで豆まきを見に行ったのがたった2日前というのが信じられないほどです。
 この寒さのせいだけとは思えませんが、インフルエンザにかかる学生が目に付きます。関東地方全域ではやっているとのことですから、学生がどこかでウィルスを拾ってきたとしても不思議はありません。東京の冷たく乾いた空気はインフルエンザウィルスの生育に最適な条件です。どんなに予防してもし過ぎることはありませんが、学生たちの様子を見ていると、心配になります。薄着が結構いるし、予防のためにマスクをしている学生は少ないし(風邪だからマスクをしているのは多数)、こまめに手を洗っている形跡はないし、その上、勉強だアルバイトだとやけに忙しく、突っ込みどころ満載です。
 学生たちは国にいたときと同じように冬を過ごしているのかもしれませんが、異国の地は心身ともにストレスがかかるものです。そのストレスのゆえに抵抗力が落ち、風邪やらインフルエンザやらのウィルスにやられやすくなるのでしょう。私も含め、年寄りの教師が風邪一つ引かずに冬を過ごしているのですから、その線はかなり有力なのではないかと思います。
 私のクラスのYさんは昨日・今日と欠席で、授業後電話をかけたら思わず受話器を離したくなるほどの咳き込みようでした。Fさんを始め、学校に出てきていても元気なさげな学生が目に付きます。1人暮らしで病気になると、さぞ寂しく心細いことでしょう。学生の健康をがっちり管理するにはどうしたらいいんでしょうね。

  • 2014年02月05日(水)19時56分

贅沢な悩み

2月4日(火)
 まだ合格が決まっていない学生がいる一方で、いくつも受かった大学からどこを選ぶか悩んでいる学生もいます。Cさん、Kさん、Rさんたちがそんな学生です。この学生たちに共通しているのは、東京の大学にするか関西の大学にするかで迷っているという点です。
 大学のレベルではどちらもすばらしく、甲乙つけがたいところです。ですから、学費を別にして考えれば、私は本人の趣味で選んでいいでしょう。ちょっとかっこよく言えば、自分の本当に勉強したいことが勉強できるほうを選ぶべきだと思います。それもまた甲乙つけがたかったら、卒業後を考えればいいでしょう。これも最近はどこの大学も就職の面倒見がよくなっていますから、差がつきにくいかもしれません。
 就活を考えると、東京の大学が有利だとも言えます。しかし、個性のある会社は関西のほうが多いのではないでしょうか。彼らが就職する4年後の日本が、世界がどうなっているかなど、私には予測ができません。経済の専門家でもざっくりしたことしか言えないんじゃないかな。少なくとも、就活の有利不利を第一に考えて受かった大学から進学先を決めるのは、下取り価格を考えて新車選びをするようなもんじゃないかと思います。今乗りたい車に今乗るのが、ベストな選択だと私は信じます。
 偉そうなことを言ってますが、私は1校しか受からなかったので、悩むまでもなくその大学を選ぶしかありませでした。その大学にしたことは全く後悔していませんし、私の人生にプラスになっていると思っています。
 みんな、今週いっぱい悩んで結論を出すようです。悩めるだけ悩んで、悔いのない選択をしてもらいたいです。

  • 2014年02月04日(火)20時26分
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